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ゲームを断れないのは「いじめと同じ構造」

 今回のテキーラ事件が明るみになったとき「なぜ断れなかったのか」と疑問視する声もあったが、後藤さんは「キャストがお酒を断るのはかなり勇気がいる行為だ」と話す。

「私はそのVIPルームの状況を想像することしかできませんが、金払いのいい有名な常連で場を支配している客からの提案なら、私も断れないです。もしも自分がゲームを断って先方が怒って帰ってしまったら、お店のスタッフから『お前のせいで今日の売上げ下がったわ』と詰られるかもしれない、と思うとチャレンジするしかない。周りの女の子も怖くて止められないし、ほかの客も『みんなやってるよ』と言いながら焚きつけている光景が目に浮かびます。いじめと同じ構造ですよね……。酒席の場数を踏んだ女性なら断れるかもしれませんが、20歳の子がこの場所でゲームを断るのはムリだと思います」

 お金云々よりもシラケさせたくない、という気持ちが先立ってしまったのでは、と後藤さんは考察する。

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©iStock.com

 一方、渦中の光本氏は12月12日に公開した文書で「ゲーム自体は女性のご希望で行うことになった」と綴っている。

テキーラチャレンジは悪魔のゲーム

「客が強要していなかったとしても、店側から『こういうゲームがあるから志願して』と頼まれていた可能性もあります。キャストの女の子は、黒服から客の情報を伝えられてから席につくので、そんなに有名な常連なら、なおさらなにか言われているはず。そういった店側のプレッシャーもあったのではないでしょうか」

 場の空気と、店からのプレッシャー……テキーラ事件はパワハラ問題とも深い関わりがあるのかもしれない。また、テキーラチャレンジは参加者の心理をついた“悪魔のゲーム”だと感じたそう。

「テキーラを制限時間内に750ml飲みきったら10万円という条件は、お酒が飲める人にとっては『できそうかも』と期待を抱かせる内容です。しかも、成功すれば10万円はまるごと受け取れる。でも、実際は命を賭けたゲームなんですよね。

 お酒を飲み慣れていない20歳の子が自ら志願したというのは違和感しかないです」

 テキーラ事件を通じて「令和になっても、女の子を酒で潰して喜ぶダサい飲み方をする人がいるんだと絶望した」と、後藤さん。同じ悲劇が繰り返されないことを祈るばかりだ。