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日本は3カ月で原子爆弾が造れる

 日本には言うまでもなく、核を「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則がある。

 しかし、9月17日、熊谷弘元官房長官が産経新聞紙上で、北朝鮮の核開発疑惑が強まった1994年の「米朝第1次核危機」の際、軍事関連企業の民間人幹部に秘密裏に面会し、日本ではどのくらいの期間で原子爆弾が造れるか尋ねると、3カ月という答えが返ってきたことを明らかにした。この報道は韓国でもとりあげられたが、徐教授は、「今は、3は3でも時間が違う」と話す。

「今の日本なら3日で造れるのではないでしょうか。日本には核に必要な再処理済みプルトニウムがすでにありますし、東京大学や東京工業大学などで蓄積された技術やデータもあり、実験はスーパーコンピュータで行える。総理の指示があれば組み立てさえすればいい。あっという間に核武装できる環境にあります。

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 韓国は、技術やデータは揃えることができますが、原料となる再処理済みプルトニウムを取り出すのに時間がかかりますので、6カ月ほどかかるでしょう。台湾なら9~11カ月でしょうか。

 核1基を造るには1兆ウォン(約1000億円)ほどですから、戦術核よりも費用はかからない。(米露英仏中の)5カ国しか核の保有ができないというのは公平ではありません。そして、現在の朝鮮半島の緊張は瀬戸際まで来ている」

 徐教授は、「韓国は、非核という浪漫、戦術核への執着、核の傘という妄想はもう捨てるべきだ」とも語った。

「戦術核については、機密事項ですので米国が現在どの程度戦術核を保有しているかはわかりませんが、米国はこれまで費用が膨大なため(戦術核を)削減してきました。そのため、もし、韓国の要請に首を縦に振ったとしても、それは『在庫処理』の厄介払いの可能性が高く、また、昔とは違ってもちろん有償になる。配備には膨大な費用がかかり、しかも在庫品では話にならない。

 戦術核の再配備要請のために訪米するなどの野党の努力は評価しますが、戦術核を91年に韓国から撤去させた際、再配備については条文に盛り込みませんでした。そのため、再配備するとなれば大義名分も必要になりますし、韓国で再配備しようと意見が一致してもそう簡単には事は進まないのが現実です。

 米国の核の傘があると反駁する人もいますが、戦術核にしても核の傘にしても米国が運用するもので、韓国が必要な時に待ったをかけられたら使うことはできません。もし、米国に被害をもたらす場合、米国第一主義のトランプ大統領でなくとも、米国が韓国を助けてくれるとは思えない。こうして考えると、米国の核の傘はとっくに破れた状態なのです」

文大統領は世論にどう応える? ©共同通信社

「戦術核再配備論」が取り沙汰されると青瓦台(大統領府)は「(戦術核再配備)は考慮していない」と立場を明らかにし、文在寅大統領も9月14日の米CNNのインタビューで、「韓国が直接核開発をしなければいけないとか、戦術核を再配備しなければならないという主張には同意しない」と念を押した。

 これに対し、韓国の主要保守紙は一斉に、「大統領は戦略的曖昧さを維持しなければならない」と批判の声をあげた。

 中国は韓国のこうした「核武装論」の動きを牽制してか、先の国連総会では韓・中外相会談後、「韓国は朝鮮半島に再び戦術核を配備しないと約束した」と発表。韓国では、この内容は一方的で歪曲されており、外交欠礼だと騒ぎになった。

 徐教授は言う。

「北朝鮮の核は完成に向かっています。ゲームのルールは変ったのです」

韓国軍は北朝鮮の核実験場を攻撃する訓練を始めた ©AFP=時事通信社