日本のように核を短期間で造れる環境を
9月25日、米トランプ大統領の北朝鮮を批判するツイッターを、北朝鮮のリ・ヨンホ外相が「明確な宣戦布告」と非難するなど、朝鮮半島の緊張が高まる中、韓国では戦術核配備論を含む「核武装論」が熱くなっている。
「戦術核」とは、威力を問わず射距離500キロメートル以下の核兵器をいい、核爆弾、核魚雷、核地雷などがそれに当たる。現在、米国の戦術核は欧州などに配備されているといわれる。韓国にも1991年まで配備されていたが、盧泰愚政権時、「米ソ対立の冷戦の終焉」と「朝鮮半島の非核化」という理由からすべて撤去された。
世論も「核武装」には肯定的で、9月3日の北朝鮮による6回目の核実験後の各世論調査では、「核を保有すべき60%」(韓国ギャラップ・9月8日)、「戦術核再配備賛成68%」(韓国社会世論研究所・9月8日~9日)という結果が出た。韓国の第一野党、保守派の自由韓国党は、9月中旬には米国に在韓米軍戦術核再配備を要請する訪米団を送り、「戦術核再配備の1000万人の国民署名運動」を始めている。
こうした「核武装論」が盛り上がりを見せる中、韓国で最近、たびたびメディアに登場するのは、韓国の原子力専門家である徐鈞烈(ソ・ギュンリョル)ソウル大学原子核工学科教授だ。
徐教授は、米国に頼った戦術核配備ではなく、「韓国が核武装できる準備をすべき」と主張し続けてきた一人だ。その契機は、2006年10月9日、北朝鮮が1回目の核実験を行った時からだという。
「北朝鮮は、核という、ブレーキのない加速するだけの車に乗ってしまった。1回目の実験の報を聞いた時、ああ、もう凍結させることはできないと思いました。
私は、核武装をしようというのではなく、韓国も核武装できる準備を、環境を整えようと主張してきました。核兵器として使おうというのでは決してありません。短い期間で核を造れるということは、それだけで抑止力になる。環境を整えるだけですから、朝鮮半島の非核化原則も守れます。ですから、日本のように核を短期間で造れる環境を整えるべきだと言い続けているのです」