鳥取南吉方店で発生したミソ汁へのネズミ混入、言うなれば“ネズミソ汁”騒動に加えて都内店舗での害虫混入で大揺れの「すき家」。国内全店の一斉閉鎖に加え、「24時間営業廃止」という大胆な取り組みが続き話題には事欠かなかったが、営業を再開してからは大きなトラブルもなく、元の平穏が戻りつつある。

 しかし、実はその裏でさらなる「深刻な事態」が進行している。コメと牛肉という、いずれも牛丼に欠かせない食材の価格上昇だ。

「すき家」のピンチは異物混入騒動だけではない ©文藝春秋

まだまだ続く“令和のコメ騒動”

 農林水産省が4月14日に発表したデータによると、3月31~4月6日に全国のスーパーで売られたコメの平均価格は5キロあたり税込4214円。14週連続の値上がりとなっている。すでに政府は21万トンの備蓄米を放出したが、米価はまだ落ち着きを見せていない。

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 すき家は自社メニューで国産米を使用しており、米価高騰の影響を直に受ける。実際に2024年11月とこの3月に一部メニューの価格改定を実施しており「牛丼(並)」であればわずか4カ月の間に50円も値上がりしてしまった。

 ただ、どうしても「牛丼=安いもの」というイメージは消費者に根強く定着しているはずだ。急激な値上げは客離れにつながりかねない。値上げと消費者の購買力を天秤にかけながら、急激なコメ価格の高騰に向き合う緊急事態に直面している。

 すき家は備蓄米の購入について、国産のブランド米があれば購入も検討すると慎重な構えをとっている。米価は今後も高騰こそあれ急激な値下がりは見込めないはずで、しばらくは厳しい状態が続くだろう。