24時間営業廃止――その言葉に多くの人が驚いた。牛丼チェーン大手「すき家」のことである。
同チェーンは、鳥取南吉方店で1月に発生していたミソ汁へのネズミ混入、言うならば“ネズミソ汁”騒動を受け、4月5日から24時間営業をほぼ全店で廃止。具体的には午前3~4時に営業を休止し、店舗の清掃時間として今後同様の被害が起こらないようにする。
営業時間短縮による売り上げの低下も懸念されるが、それを振り切っての大胆な決断だ。一見、経営としては「痛手」にも思える。
しかし筆者は、すき家にとって今回の決断が「痛手」であるどころか、むしろさらに飛躍していく「チャンス」になるのではないかと思っている。
24時間営業はもはや「時代遅れ」
そもそも、昨今は多くの業種で「24時間営業はコスパが悪い」と言われ始めている。
24時間営業は、消費者にとって「いつでも」店に行けることが大きなメリットだ。特に都市部で深夜帯も活動している人の場合、その恩恵ははかりしれない。企業・労働者側にとっても「雇用の創出」という側面があるため、消費者・労働者双方に優しいシステムだった。
「だった」と書いたのは、24時間営業はあくまで人口が増加して働き手も多く、夜遅くまで人々が働いたり遊んだりする状況で成立するモデルだからだ。