ハードすぎる「24時間労働」も廃止すべきでは?
すき家の発表を見ると、営業を停止する時間は「午前3~4時」の1時間のみ。なおかつそこでは店舗の清掃作業を実施する。つまり、消費者からみれば確かに「24時間営業廃止」だが、働き手から見れば以前と何ら変わらない「24時間労働体制」のままなのだ。
そもそも今回の対応は、立て続けに発覚した異物混入が今後起こらないようにするための措置である。ただ、異物混入が起こる原因は店舗の汚れだけにあるのではない。
多くの場合「店舗の汚れ」×「従業員の不確認」という、いわばハード面とソフト面の両方の問題が重なったときに異物混入が生じる。今回の“ネズミソ汁”騒動も、店舗にネズミが入り込んでしまったこと、最終的にそれを確認できなかった店員のミスという2つが重なって起こっている。
すき家が発表した対応は「ハード面」の処置にとどまる。「ソフト面」、つまり従業員側のケアにはなっていない。従業員のミスを減らすには、徹底した教育はもちろん、ゆとりある労働時間で仕事に集中できる環境を整えることも必要になるはずだ。
すき家は過去、従業員が1人で店舗を運営する「ワンオペ」状態の負荷が高すぎるとして社会的な批判を浴びると、2014年に深夜帯のワンオペを廃止。一方でその他の時間はワンオペの店舗も残っており、2022年に従業員がワンオペ中に倒れ、亡くなってしまう事件も発生した。
すき家によると、従業員は本部へ緊急連絡ができる「ワイヤレス非常ボタン」なるものを装着しており、カバーする本部も24時間体制で動いているようだが、裏を返すとここまでしないと店舗を運営できないほど人材不足に悩まされているわけだ。今後も数少ない労働者に負担が集中し、その疲労から別の問題が発生する可能性は低くない。
その意味では、例えば「午前7時~午後11時まで」といったようにもっと大胆に営業時間を短縮し、従業員の負荷を減らす選択肢も考慮すべきだし、長いスパンで見ればそのようになっていくのは当然のことだともいえる。