「トランプ関税」で牛肉も大ピンチ?
コメ以上に不安要素が強いのが「牛肉」だ。すき家は米国やカナダといった複数の国から牛肉を輸入して使用しているが、このうち北米の牛肉に黄色信号が灯っている。
ニューズウィーク日本版が3月21日に公開した記事『止まらぬ牛肉高騰、全米で記録的水準に接近中...今後、トランプ関税が追い打ちに?』によると、米国の牛肉価格が記録的な水準に近付いているという。畜牛の減少や西部での干ばつ、国内の高い需要などが背景にある。
カナダも同様で、数年間にわたる乾燥気候の影響で飼料穀物の生育が芳しくなく、飼育頭数が減少している。ロイターが3月4日に公開した記事『アングル:米高関税対策でカナダ牛が減少加速、米で牛肉さらに値上がりか』では、2025年の肉牛飼育頭数について米国では74年ぶり、カナダで36年ぶりの頭数に落ち込んでいるというデータも明らかになっている。
ここに加わるのがトランプ米大統領による貿易赤字が大きい対象国・地域をターゲットとした相互関税、「トランプ関税」の影響だ。
米国では若齢牛をカナダに送って育て、本国に戻すケースも多い。トランプ関税はこうした肉牛の供給システムを根底から崩す可能性があり、北米の牛肉市場のさらなる混乱は必至である。
4月9日に発動した相互関税はすでに90日間の停止となり、いったんは10%の関税を課して交渉を進めているが、予断は許されない。そもそも米国はカナダに対し、以前から輸入関税の引き上げを行っていた。北米を中心とした牛肉に頼ることの多い牛丼チェーンでは、依然として厳しい状況が続くことは確かだろう。
