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“アラフォー”セレブ女はなぜヤクザを使って実父を拉致させたのか? 背景には「違法ビジネス」トラブル

父を呼び寄せ、共同で法人を設立

 温はその後、自身の事業をさらに拡大するためにある行動に出る。

「2013年に、深セン大学で建築学の教授をしていたお父さんを日本に呼び寄せ、共同で法人を設立したんです。それが、経営権を争うこととなったBISEI株式会社。法人化で、これまで個人でやっていた『代購』の規模を拡大すると同時に、化粧品を自社開発して『日本ブランド』として中国人に売る、という新規事業を行うことがその目的だったようです。法人設立から数年は、共同経営者としての仲も親子としての仲も悪くなかったはず」

 しかしその後、2人の仲に亀裂が入り始める。M氏によると、その原因の1つとなったのが、温が主導で進めていた違法ビジネスだという。

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温が手を染めた医薬品の違法転売

「温は、代購ビジネスの一環として、医薬品の違法転売も行っていたんです。例えば、日本製のヒト胎盤(プラセンタ)製剤。中国では、ヒト胎盤は漢方薬として美容やアンチエイジングに利用されてきた歴史があるのですが、2015年からヒト胎盤の売買が禁止されたんです。そこでヒト胎盤愛用者に代替品として注目されたのが、ラエンネックやメルスモンといった日本製のヒト胎盤製剤。これらは、医師にしか処方できないはずですが、温はどういうコネなのか医師から横流ししてもらい、中国の顧客に転売していた。マジンドールという向精神薬も、『やせ薬』として扱っていたと聞いています。ただ、社長を務める父親は、こうした違法なビジネスを嫌っていたようです。温が『もともと私が始めたビジネスなのに、途中から参画した父親がいろいろ指図してきてウザい』というような愚痴をこぼしていたのを聞いたこともあります」(M氏)

温容疑者がウェイボーで販売していた「ヒト胎盤製剤(プラセンタ)」

 ちなみに2017年1月、温は女児を出産している。「子供の父親は、中国の富裕層を相手にした、小顔整体ビジネスを一緒にやっていた整体師の男性と聞いています。ただ、温が妊娠した頃から彼女とは疎遠になってしまったので、入籍したのかどうかは分かりません。2019年ころ、父親と民事裁判に発展したという話を人づてに聞いたのが最新の消息でした」(M氏)。

逮捕直前は猫、娘とタワマン住まい

 その後の温については、逮捕直前まで更新していた彼女のインスタグラムで垣間見ることができる。

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 そこには、湾岸の夜景を一望できる、高級ホテルと見まがうようなタワーマンションでの、猫と娘との生活をとらえた写真が複数アップされている。M氏が明かした、ホームパーティをしていたマンションから、さらにランクの高い住まいに引越ししたようだ。

温容疑者が飼っていた猫たち。背景には高層マンションらしい夜景が

 最後の投稿は1月20日、ニセコのスキー場で撮影された写真だ。その3日後、彼女は逮捕されている。自己紹介欄には「遊んで人生過ごす」と格言めいた文句を掲げていた彼女だが、それもしばらくはお預けになりそうだ。

 
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