かつて、骨肉の争いで注目を集めた大塚家具のお家騒動では、娘の大塚久美子氏が、プロキシファイト(委任状争奪戦)の末に創業者で実父の勝久氏を退任に追い込んだ。
しかし世の中には、実の父親から経営主導権を奪うためには手段を選ばない娘もいるようだ。
警視庁は1月23日、都内在住で中国籍の温雅然容疑者(37)を逮捕監禁致傷と強盗容疑で逮捕した。
経営権をめぐって対立していた父親を誘拐
温は、既に逮捕されている住吉会系暴力団幹部の男ら6人と共謀し、化粧品会社の経営権をめぐって対立していた父親で会社役員の60代男性を誘拐したのだ。
事件が起きたのは昨年8月18日午後5時過ぎ。被害男性は、銀座8丁目の自宅マンション駐輪場で、3人組の男らに催涙スプレーを吹きかけられて車に押し込まれた。捜査関係者の話によると、被害男性は車内で、ガムテープで目と口を塞がれたうえ、手錠を施された状態でスタンガンを押し当てられ「3000万円を払え」などと脅迫を受けたという。
拉致されてからおよそ5時間後、男性は浦安市内で解放され交番に駆け込んで保護された。
くっきりした目鼻立ちに長髪をなびかせた温の顔写真がニュース番組で放映されると、ネット上では「可愛い」「アラフォーには見えない」といった声も上がった。その美貌と、ヤクザを使って実父を拉致させるという冷酷な手口とのギャップに、戸惑いを覚えた人も多かったことだろう。
『爆買い』ブームに乗って個人輸入代行ビジネスを展開
しかし彼女は、今から10年近く前から、怪しいビジネスに手を染めていたという。20代後半から数年間、温と親しかったという知人女性M氏が明かす。
「広東省深セン市出身の彼女は、高校の時に単身で留学に来て以来、日本在住20年以上。私が彼女と出会った10年ほど前、確か彼女は日本人の男性と結婚していたんですが、30歳くらいまでに離婚しているはず。その後、彼女が始めたのが、『代購』(個人輸入代行ビジネス)です。ウェイボ―(中国SNS)やウィーチャット(中国チャットアプリ)で集客した中国人の注文を受けて、日本製の化粧品とか薬とかを仕入れて送っていました。ちょうど、『爆買い』という言葉がブームになり始めたころで、ビジネスを始めて2年目には、年収が1000万円に達したと言っていた。普通のワンルームマンションから、レインボーブリッジが見渡せる勝どきのマンションの高層階に引っ越ししたのもこの頃です。2LDKと一人暮らしには広々した部屋で、毎週末のようにホームパーティをしていました」