2025年は『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(興収約400億円)、『名探偵コナン 隻眼の残像』(興収140億円超)、『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』(興収100億円超)と、邦画アニメのメガヒット連発が話題をさらった。だが、海外へ目を向けると去年、世界中に旋風を巻き起こしたアニメ作品と言えば、『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』で間違いない。去年6月にネットフリックスで配信されるとたちまち世界66か国で視聴数1位を獲得。約半年間で5億回以上再生という桁外れの視聴数を叩き出し、映画視聴数の歴代最多記録を塗り替えた。先日の第83回ゴールデングローブ賞でアニメーション作品賞を受賞し、来たる第98回アカデミー賞・長編アニメーション賞も有力視されている。
では、どんな物語かと言えば、実に荒唐無稽で鼻白んでしまう設定なのだ。主人公は架空のK-POPガールズグループ「ハントリックス」のルミ、ミラ、ゾーイという3人の女の子。
「あなたたちはポップスターになると同時に、次の世代のハンターになるのよ」
彼女たちは人気アイドルでありながらもう一つの顔を持つ。それは太古から人々の魂を奪ってきたデーモンを追い払う役目。闇を退ける天性の声と歌の力で世界を守る結界(ホンムーン)を作り、デーモンを封印するのだ。これまで時代ごとに3人の女性が選ばれ、アイドル活動の裏で密かにデーモンハンターの使命を負い、人々を魔の手から守ってきた。その大役を彼女たちが担うことになった。日本の往年のアイドルで喩えるなら「キャンディーズが陰陽師として悪霊を祓う」といった設定か。いやいや、そんな物語に全世界が熱狂するなんて……と戸惑うかもしれないが、本作の魅力はなんと言っても劇中歌。楽曲制作にはK-POPシーンで活躍する現役の作家やアーティストが参加。アニメ作品に楽曲が添えられているのではなく、曲単体が圧倒的なクオリティーで“真の主役”としての存在感を放っている。その音楽に日本アニメの影響を感じさせるコミカルな描写を融合させ、アクション作品として昇華させた。これが今、世界中で社会現象を巻き起こしている。
架空のアイドルグループ「ハントリックス」が歌う曲は現実世界の音楽チャートを席巻。サウンドトラックは米ビルボードで1位に輝き、世界中のティーンエージャーの“アンセム”となった主題歌『Golden』はシングルで5週連続1位に。さらには世界最高峰の音楽賞、第68回グラミー賞で最優秀視覚メディア楽曲賞を受賞。BTSは3年連続でノミネートされながらグラミー賞を受賞できなかったが、『Golden』はK-POP楽曲として史上初の快挙を達成した。日本語を含む世界15か国語以上でカバーも作られ、高市早苗首相が韓国・李在明大統領とドラムセッションを行った際の一曲としても使われた。
架空が現実を超え、世界中に広がっていく。その様は劇中で描かれたように、デーモンから人々を守る黄金の結界が歌の力で世界中を包み込んでいく光景のようにも思える。
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『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』
https://www.netflix.com/jp/title/81498621




