“どんでん返し”が待っている作品の紹介は難しい。何を書いてもネタバレになりかねない。視聴者を身構えさせ、ラストの衝撃を目減りさせてしまうこともある。だが、話題のドラマ『彼の真実、彼女の嘘』(ネットフリックスで配信中)は心配無用だ。全6話のリミテッドシリーズで描かれる本作の結末は想像の斜め上を行く。

 舞台は米・ジョージア州の大都市アトランタから車で北へ1時間半ほどの距離にある小さな田舎町ダロネガ。物語は雷雨の真夜中、森に置かれた高級車のボンネットにメッタ刺しにされた1人の白人女性が横たわる場面から始まる。誰がこんな酷い殺人を犯したのか? 雨に打たれフードを被ったまま慌ただしく帰宅する黒人女性。彼女の名はアナ。そこに彼女の声と思しきモノローグが流れる。

「どんな話にも2つ以上の側面がある。あなたと私、私達と彼ら、彼と彼女……」

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 視点が変われば“真実”も変わる。題名が示唆するように一方を“真実”とすれば、もう一方は“嘘”となる。これはまさに物事の二面性(多面性)を描いた物語だ。そこに無意識の思い込みや偏見、ミスリードを巧みに織り込みながら……。

 怪しい“彼女”アナと対峙する“彼”は地元の刑事ジャック。翌朝、殺害現場に到着した彼の様子もなんだか怪しい。殺害された白人女性の携帯電話の捜索を部下たちに命じるが……。

「見つけた者は決して開いたり、いじったりせずにすぐに俺の元へ持ってこい」

 まるで被害者の携帯電話に見られてはまずい情報が残っているような口ぶりだ。

 一方、アナは翌日、現場検証中の殺害現場に現れる。実は彼女は1年前までアトランタのTV局でニュース番組のメインキャスターを務めていたが、ある理由で失踪していた。ところが、1年ぶりに突如、姿を現し、田舎町のダロネガで起きた殺人事件を取材したいと申し出て、現場レポートでの復帰を希望する。

「生まれ故郷なの。地元だから住民たちとも話せる」

 1人の白人女性の遺体と2人の怪しい男と女。果たして2人の関係は? 報道陣に対応する刑事ジャックにレポーターのアナが問う。

「被害者と知り合いでは?」

 質問を受け顔面が硬直するジャック。なぜそんなことが分かるのか? 疑問が深まったところでアナとジャックの関係が明かされる。

「私の夫よ」

 1年ぶりに再会した2人。彼らには幼い娘がいたが、ある不幸がきっかけでアナはジャックの元を去り、姿をくらませていた。その間、打ちひしがれたジャックはある女性と不倫を重ねる。それが殺された女性レイチェルだった。彼女はアナの高校時代の親友だった。殺人事件があった夜も現場でジャックはレイチェルと車内で情事に耽っていた。その2人の姿を雨の中、フードを被ったアナは密かに目撃していた……。

©佐々木健一

 ここまでも意外な展開の連続だが、これはまだ第1話。ほんの序の口に過ぎない。ここから物語は二転三転し、ラストには驚愕の大どんでん返しが待っている。

 最後に語られる言葉。

「人は自分が見たいものを見るもの。たとえ真実が目の前にあっても……」

 その意味を噛みしめることとなる。刮目して見よ。

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『彼の真実、彼女の嘘』
https://www.netflix.com/jp/title/81662954