イラスト 龍神貴之/加藤木麻莉

 忖度どころか、明らかな不正を見つけてしまったらどうするのでしょうか? 一番多かった回答は「社内のコンプライアンス担当に通報する」で、半数近くにも達しました。「マスコミに内部告発する」は5.7%ありました。「ネットで書いて話題にする」は、意外と少なくて1.7%でした。そして、一番多かった対応策は?

問 会社の不正を発見してしまった。部署ぐるみなので自分も巻き込まれそう。どうする?
社内のコンプライアンス担当に通報する 47.2%
上司を説得して不正をやめさせる 16.1%
社長など経営陣に直談判する 11.0%
ひたすら人事異動を待つ 7.4%
マスコミに内部告発する 5.7%
できるだけ早く退職する 5.4%
ネットで書いて話題にする 1.7%
その他 5.7%

 具体的な不正の内容も多く寄せられています。

「セクハラ支店長。もういません」(金融業 60代 男性)

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「社内で1200万の横領が発覚したことがありました。仕事上、その伝票処理の一部を担当していました」(サービス業 40代 女性)

「交際費を私的に流用して、かつ店からキックバックを受けていた」(IT業界 50代 男性)

「架空の出張を部下に押し付けて精算をさせて捻出した金を取引先に渡し、受注に結びつけていた」(商社・卸売業 50代 男)

「取り扱っている金券が権利者に渡ることなく廃棄されていた」(自治体・官公庁 30代 女性)

「お客様からの皮膚障害の報告を取締役会に報告しようとしたら、事前に監査役から“そんな情報は見たくない! 問題はないと報告しろ!”と言われました」(製造業 50代 男性)

「周囲を説得して、内密に出来れば……と思ったのですが、結果、私一人のせいにされて左遷。あとで上司に言われました、『バカだね、私より上の人間に言わなきゃ、私につぶされるんだ』」(教育 40代 女性)

©iStock.com

 今回、「社内のコンプライアンス担当に通報する」と答えた人が約半数。制度が定着してきたのでしょう。

「うちの会社(銀行)は、コンプライアンスヘルプラインがきちんとしているので、匿名で通報できます! 通報します!」(金融業 30代 女性)

「外資系なので専門部署に通報したらあっという間に調査が入り1カ月もしないうちに解決しました。会社は株主のものという文化でしょうか。通報するのも仕事」(サービス業 60代 男性)

 しかし、まだまだこんな声もありました。

「社外の内部通報窓口に通報する。社内のコンプライアンス体制は、もみ消ししかしないので。パワハラが案件化されたことがない」(団体・組合等 50代 男性)

 世に不正の種は尽きまじ。

「半沢直樹・花咲舞に教えて欲しい 働くあなたの意識調査」は、9月5日に発売となった池井戸潤さんの人気シリーズ最新巻『銀翼のイカロス 半沢直樹4』(文春文庫)と『花咲舞が黙ってない』(中公文庫)の主人公、半沢直樹と花咲舞がともに自分の正義感を貫いて仕事を成し遂げるタイプであることから、主に仕事上のコンプライアンスに焦点を当てて意識調査を行なったものです。

「仕事上の判断を『忖度(そんたく)』で変えたことがある?」「会社の不正を発見してしまった。部署ぐるみなので自分も巻き込まれそう。どうする?」「あなたの最も苦手な上司を人間以外の生き物に例えたら、どんなタイプ?」「仕事のグチ、誰に言う?」の4つの設問について、8月25日から9月21日にかけてインターネット上で募集し、30代~50代を中心に299件の回答を得ました。

 明日は、苦手な上司のタイプ、仕事のグチについての声をご紹介します。

(「あなたの苦手な上司はイノシシ? クラゲ? ボスザル?」に続く)

<作品の紹介>

 

『銀翼のイカロス』(池井戸潤/文春文庫)
定価:760円+税
2017年9月5日発売
倒産寸前の航空会社の再生を担当する半沢直樹。だが政府機関が莫大な負債の棒引きを要求してきた! 史上最大の危機が半沢を襲う最新作。
特設サイト http://books.bunshun.jp/sp/hanzawa

 

『花咲舞が黙ってない』(池井戸潤/中公文庫)
定価:740円+税
2017年9月5日発売
メガバンク誕生前夜。生き残りを賭けた熾烈な合併交渉が進む中、自行の存続を揺るがしかねない大スキャンダルを知った花咲舞は――
特設サイト http://www.chuko.co.jp/special/hanasaki