左手に白色の腕時計が輝いて見える。井口資仁監督は今年からユニホームを着ている時でも腕時計を身につけるようになった。最初にその事に気が付いたのは今年からキャプテンに任命された中村奨吾内野手だった。石垣島キャンプ初日に変化に気が付いた。
腕時計を肌身離さず身に着けると決めた理由
「今までグラウンドで時計をしているところなんて見た事がなかった。ちょっと驚きでした。カッコイイ時計だなあと思いながら、どういう心境の変化なのかなあと気になりました」と中村奨。
だから率直に疑問をぶつけた。すると指揮官は嬉しそうに時計の紹介をしてくれた。スイスの時計メーカー「CVSTOS(クストス)」の一品で、身に着けているのはブランドを代表する「チャレンジ」シリーズ。一目惚れしたと同時にそのコンセプトに魅了されたのだという。
「一日で時計を見る時間はそんなに長くはないしスポーツの時計ではないのだけど、つけていると身が引き締まる想いがする。我々はチャレンジャー。つねに挑戦しなくてはいけないという事をつねに思い出させてくれる大切な存在」
クストスがラテン語で守護神という意味を持つ事。そしてこの時計がチャレンジャーたちによる革新的な機械式腕時計でチャレンジの想いが込められていることから、この時計を肌身離さず身に着けることを決めた。
「いつだってチャレンジャーの気持ちを忘れたくない。挑戦する想いから作られた時計を身につけることで、どんな困難な時もチャレンジ精神を思い出せるかなとも考えた。時計のパワーを頂戴しながら今年は熱い信念をもって未来を切り開いていきたいという想いがこもっている」
井口監督は身につけている時計に関して雄弁に語る。監督という仕事はつねに挑戦の連続である。新しい練習、調整方法を取り入れ、新しい選手を起用し勝利を重ねていく。従来通りにすべてを行う方がリスクは少ないに決まっている。しかし、それではチームとしての大きな成長は生まれない。