「気まぐれプリンセス」の光井愛佳ソロバージョンは、ものすごく良かった。帽子と細い眉毛が似合い、カメラに向かってバシリバシリと鋭い眼光を決める彼女は、スタイリッシュ! 歌割関係なく魅せる心意気といおうか、光井の高いモチベーションに唸った動画の一つである。現在彼女は芸能活動をされていないようだが、個人的に大好きなルックスと佇まいだった。
アイドル全盛期での「もがきと達観」
プラチナ期の放つ湿気と上質な重みは、時代背景も大きくリンクしている。高橋愛がリーダーに就任した2007年にYouTube日本版がサービス開始。2008年にFacebook、Twitter日本語版がサービス開始。さらにアイドル業界では、AKB48が「RIVER」で認知度を一気に高めたのが2009年。ももいろクローバーが「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たしたのが2010年。
ネットサービスの大変動、アイドルグループ大流行のWパンチにぶち当たったプラチナ期のパフォーマンスには、もがきと達観の両極端がまぜこぜに見え、だからこそ、ボディブローのようにジワジワ感動してしまうのである。
それから約10年が経った今、「風の時代」に突入。誰もが宣伝隊長となり、SNSで好きだと思ったものを拡散しブームにできる。しかもそれを自宅で楽しめる! 特別な広告宣伝媒体に頼らずとも、カッコいいものが残る時代だ。プラチナ期はこれからも新たなファンを生み続けるだろう。
が、だからこそ個人的に、「土の時代」の楽しみ方に未練もある。
「もっと早く知ってほしかったな」
ライブ会場で汗をかきながらサイリウムを振り、横の人と肩をぶつけ、大声でコールをし、握手会に並び、ファミレスでファン仲間と密になり興奮を語る――。
「とりあえず家で楽しんで、いつか参戦しよう」。その「いつか」がここまで難しくなる日が来るとは思わなかった。
新垣里沙も自身のYouTubeチャンネル「RisanTube」の「プラチナ期の事について...みんなありがとう!」にて、穏やかな笑顔で当時をこう語っている。
「正直、もっと早く知ってほしかったな、あの頃の私たちを」。
ああ、溢るる感情、抑えちゃならんかったのさ……。当時の私の背後にタイムマシンを止め、後頭部を張り倒したい。行きたいなら、なんだかんだモジモジせず行けよ現場に、と!
映画「あの頃。」は楽しみだが、鑑賞後、センチメンタル気分に陥る可能性大。羨ましさと切なさと後悔で心がパンパンになりそうだ。
モーニング娘。'21は3月31日に、グループにとって約3年4カ月ぶりとなるニューアルバム「16th~That's J-POP~」をリリースする。とにかくまずはこれを聴き「これから。」に備えよう。早く、大声でコールできる日が来ますように。