菅政権にスターが誕生した。菅長男である。
思い起こせば安倍政権には昭恵夫人という「スター」がいた。いつも皆の想像をやすやすと超えてくる言動。政権が見せたくない部分すら開示してしまい、結果的に問題提起。
それに比べて菅政権は地味だった。菅首相自身がなかなか顔を見せてくれないし語りかけてくれない。しかし菅長男の登場で一気に華やかになった。
高級官僚の違法接待、続く続報
スターとは何か? 定義はいろいろあるだろうがここでは「目が離せない人」とする。
父親の菅首相は鉄壁のガースーなどと言われていた。しかし首相になってからの答弁能力に「菅さんてこんなに喋れない人だったんだ」と少なくない人が今さら驚いた(私含む)。それまでの情報コントロールの巧みさだったのだろう。しかしその「努力」を長男があっという間に吹き飛ばす勢い。
「菅首相長男 高級官僚を違法接待」(『週刊文春』2月11日号)。ここから続報が相次いでいる。先日は接待時の音声まで公開されてしまった。
菅長男は「囲碁将棋チャンネル」の取締役も兼ねているのに文春に詰将棋をやられているのだ。これもスターらしいチャーミングさである。
無職のバンドマンから大臣秘書官へ
では菅首相が長男に何をしてきたかおさらいする。
《総務大臣就任時(06年)、バンドマンで無職の長男を大臣秘書官として抜擢し、多数の総務官僚との接点を持たせた後、総務省の許認可先への就職を許した。》(『週刊文春』2月25日号)
何がすごいって、この短い文章には菅首相の看板フレーズを長男がすべて殺しにかかっていることがわかる。
菅首相がよく主張するのは、
「税金を投入するに値するのか」
「自助」
「既得権益を打破」
である。ところが専門性の無い長男をいきなり大臣秘書官にしていた。これは「税金を投入するに値するのか」。
日本学術会議にはあれだけ税金投入に厳しかったのに長男には職を与え、税金を投入。公私混同にしかみえない。これは「自助」ではない。国民に言っていることと違う。