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〈私事ですが、今頑張ろうと思っていることは二つあります。まず、教師になるための勉強です。中学生の頃から学校教育に興味があり(中略)、また、震災を振り返るとき被災者として生徒に伝えていきたいと思いました〉

「子どもたちに震災のことを伝えられる」

 あらためてその思いを尋ねると、きっかけは震災にあったと語った。

「教師という職業に興味を覚えたのは、震災の時の避難所でした。私の担任だった女性教師は学校では苦手な印象でした。ですが、震災が起きて避難所にみんなで行ったところ、その先生は率先して地域の人たちに毛布を配ったり、お年寄りをいたわったりしていたんです。先生だって被災者。また、避難所では教師の業務をしているわけではありません。でも、いろんな方をケアしていた。その姿を見て、こんな先生に私もなりたいし、もし教師だったら子どもたちに震災のことを伝えられるなと思ったんです」

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 大学で防災教育も学び、防災士の資格も取得した。

 どのような職に就くか、どのように生きていくか。そんな人生の根幹部分があの震災体験から発していた。

 それはその後、聞いていった子たちも同様だった。心理カウンセラーを目指した子、陸上自衛隊の高等工科学校に入学した子、看護師を目指した子、震災体験を世界に伝えようとした子……。

出典:「文藝春秋」4月号

 10年の月日の中で、『つなみ』の作文を寄せてくれた子たちは、あの震災を土台として自分の生き方を選択し、歩み始めていた。「文藝春秋」4月号および「文藝春秋 電子版」の「大人になった『つなみ』の子どもたち」にその歩みの一部を記した。

文藝春秋

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大人になった『つなみ』の子どもたち