2021年4月3日土曜の京都。藤浪晋太郎が中日を6回7安打1失点に抑えた翌朝。
いわゆる「花曇り」の鴻ノ巣山運動公園で、第89回城陽市長旗杯争奪大会、通称「城陽大会」の開会式が執りおこなわれた。錦林スポーツ少年団錦林ジュニアの背番号10番、K納キャプテンが背を伸ばし、凛とした面持ちで、前年度Bの部(5年生まで)の優勝旗を返還した。
「今年、日本一なるから2回目やん」
小5の息子ひとひが、一昨年、小3の秋から錦林ジュニアに入団。毎週土日、嬉々とした表情で、大ぶりなバットバッグにヘルメットをかぶり、腰を浮かせ自転車でかっ飛んでいく。グラウンドにはもう、同じ表情をした先輩、チームメイトが集まっている。僕も、仕事の手があいているときは、ソックスに短いベースボールパンツをはいて「いしい(へっぽこ)コーチ」として、グラウンドを整備し、転がるボールを追いかける。
グラウンドに出ているからこそ、感じることかもしれない。プロの選手も少年チームの選手も、野球好き、の一点においては、誰もみな平等にちがいない。
この日来ていた錦林ジュニア(以下「錦ジュ」)の選手12人に、好きなプロ球団をきいてみた。いわく。
阪神タイガース 7名
ソフトバンクホークス 2名
広島カープ 2名
読売ジャイアンツ 1名
一見して明らかだが、タイガース以外すべて「強い」チームである。阪神、日本一になったんて、1985年の1回だけやで、と選手たちに教えると、へえ、という顔になり、
「今年、日本一なるから2回目やん」とこたえた。
この日、城陽大会の一回戦。錦ジュ先発のH見投手は粘りのピッチング。1回2回を2四球1安打の0点に抑える。かたや錦ジュの攻撃陣は、1回と5回に2点、3回に1点を奪取。どれも四球にバントを重ねての、やはり粘り強い得点だった。3回からマウンドにあがったK納投手が、5回までの3イニングを1四球ノーヒットに抑え、錦ジュが5対0のスコアで勝利。傍目には、2回表、ショートからの難しい送球をすくいあげた一塁手Y本選手のプレイが、試合の流れを引き寄せたように思う。