昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

人を信じ、戦いを諦めない…ベイスターズ・三浦大輔監督が目指す野球を考える

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/04/16

 横浜スタジアムの照明がなぜか優しい。

 今シーズン最初のナイター放送開始直前、顔を上げてグラウンドを見つめると今年はなぜか灯が柔らかいのです。試合開始時間が前倒しとなり、まだ空に明るさが残るから?と考えが巡った後思い浮かんだのは、去年の開幕戦が6月19日だったこと。前年タイガースとのクライマックスシリーズ第3戦に敗れてから実に8か月半ぶりに浴びたカクテル光線でした。

 今年は4か月半に満たないインターバル。ナイター照明そのものに違和感が少ないのかと感じ、予定通りの日程でペナントレースが始まったことに心から感謝しました。

 ふと一塁側ベンチに視線を送ると、さらに違和感なく優しく照らし出されていたのは三浦大輔新監督。間違いなく新鮮でありながら、ベイスターズファンが何度もイメージしてきた既視感すらある立ち姿です。

三浦大輔監督 ©tvk

三浦監督が目指す野球は何だろう?

 今年の春季宜野湾キャンプ取材から考え続けました。

 三浦監督は一つ一つの問いかけに対して真摯に熟慮します。選手やコーチ、スタッフを始め関わる人たち、取材者にも等しく深い配慮をします。発せられた言葉は慎重に選び抜かれています。

 それでもいくつか、三浦監督のカラーを垣間見る言葉が見つかります。

「結束」
「繋がり」
「変わらないと強くなれない」
「積極的なトライ」
「先発投手には一皮も二皮もむけて欲しい」
「自分の居場所はつかみ取るもの」
「粘った良いフォアボール」

 などエネルギーに満ちた言葉の数々を、三浦監督が現役時代から目の当たりにしたはずの野球、取り組みや出来事で繋ぎ合わせる。点を線で結びつける作業が、開幕前実況中継に向けての準備でした。

2021ベイスターズ春季キャンプ ©吉井祥博

 2021年3月30日火曜日、今シーズン本拠地初戦でのスワローズ戦がtvkにとっても中継のスタート。結果は終盤に逆転を許し5対4で競り負け。この試合をスムーズに勝利していれば今の苦しみは少し変わっていたかもと考えることがあります。一方で三浦監督が目指す野球の要素が詰まった試合でもありました。

1番2番が繋いだ得点

 1回センター前ヒットの桑原選手を一塁に置いて、2番関根選手がヒットエンドラン成功、ライト前ヒットでノーアウト一、三塁。宮崎選手の先制タイムリーヒットに繋がりました。

 一朝一夕に実現はできませんが、チームが変わるには打線が繋がり効率良く点を取ることが肝要。盗塁を含めた先の塁を目指す意識もすぐには数字に反映されませんし、オープン戦では10試合でホームランは4本と12球団中カープに次ぐ少なさ。勝つ確率を上げるためには繋いで奪った得点を守り切る必要があります。1番2番の機能は三浦監督が目指す形でした。

 開幕オーダーに外国人選手不在について三浦監督は一貫して「自らがコントロールできないことは、信じて待つしかない。若手にはチャンスですから」と答えています。この言葉を聞き、かつてベイスターズ監督を務めた大矢明彦さんが「監督の仕事は与えられた材料(選手の陣容)をどう料理するかなんだよ」と話していたことを思い出しました。実際、もはやチームリーダーの一人として役割を果たす牧選手、三浦監督が去年ファームの監督として目の当たりにし「能力は元々ありますから」と評する関根選手を始め何人かの選手が台頭しています。

関根大気 ©tvk

関連記事