ヤクルトとともに歩んだ2017年シーズン
143試合45勝96敗、勝率・319――。
これが、2017年の東京ヤクルトスワローズのすべてだ。「.319」という数字に改めてため息が出る。これでは、両リーグ首位打者の宮﨑敏郎(DeNA)、秋山翔吾(西武)の打率よりも低いではないか。借金は「51」もあるのか……。そして、敗戦数は球団史上最多となる「96敗」。僕にとっては歴史上の存在である「国鉄スワローズ」。その創設初年度の1950年に記録した94敗よりも、さらに2敗も多いのだ。ある意味では、今年のヤクルトファンはみな「歴史の目撃者」なのだろう。
子どもの頃からヤクルトの応援を続けてきたけれど、今年の超低空飛行にはかなり心を痛め続けた。負けに対する耐性は備えているつもりだったのに、7月の14連敗中は心身ともに辛い日々が続いた。それでも僕は、「2017年のヤクルト」を誇りに思いたい。なぜなら、今年は僕にとって、とても意味のある一年だったからなのだ。
今年の開幕前、「今季から始まる文春野球にヤクルト代表として参加しないか?」という打診を受けた。プレッシャーはあったけれども、大好きなヤクルトについて書く機会を与えられたことが嬉しかった。二つ返事で、「もちろんやります!」と宣言し、すぐに「2つの誓い」を自らに課した。
- 神宮球場の年間シートを購入し、熱心に応援すること。
- 全試合の新聞記事をスクラップすること。
これまで経験したことのない連敗地獄、借金生活を過ごすことになったとてもつらいシーズンだったことは間違いないけれど、結果的にこの「2つの誓い」を完遂したことは誇りに思う。さらに今年、僕は2冊の「ヤクルト本」を出版。これまでは、「好きだからこそ、ヤクルトの仕事は遠ざけよう」と考えていたのだけれど、フリーランスの物書きになって15年目を迎えた今年、僕はこれまでの禁を破って、「堂々とヤクルトについての原稿を書こう」と決めた。
そして、5月には『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)を出版した。この本ではおよそ50名の現役選手、OB選手、球団関係者たちに話を聞き、「ヤクルトらしさ」とは何かを探った。おかげさまで発売早々に重版が決まるなど、多くのヤクルトファンに読んでもらうこととなった。そして、この11月には『幸運な男――伊藤智仁 悲運のエースの幸福な人生』(インプレス)という新刊を出版する。
ときを同じくして、別の媒体では真中監督に定期的にインタビューをする「真中流マネジメント」というウェブ連載も始まった。まさに、ヤクルトづくしの2017年。僕にとっての17年は「ヤクルト新時代」の幕開けでもあり、今後のヤクルトとの向き合い方を改めて模索する記念すべき一年となったのだった。