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宣伝の最重要かつ最難関なミッションとは?

 このように菅田×有村ペア以外にも再共演までのスパンが短い俳優同士は一定数存在します。

 こういった“短期間で再共演”が起こるのは、自然体な演技ができる俳優同士であったり、アクションシーンがこなせる俳優同士であったりと、ペアとしての相性やバランスが良いという、シンプルかつ純粋なキャスティング理由もあるでしょう。

 そして、やはり話題性という部分が大きなメリットとしてあると感じます。

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 例えば『サイレント・トーキョー』公開1年前の2019年12月に行われた制作発表会見に西島さんと石田さんが登壇した際、2人はこんな会話を交わしています。

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 2人は夫婦役を演じることが多かったのですが『サイレント・トーキョー』では夫婦役ではないため、「(これまでの共演作では)常にかわいそうな奥さん役でしたが(笑)、今回は夫婦ではないので、また全然違って」と石田さん。西島さんも「(石田さんが)今回は奥さんじゃないんだと不思議な気持ちでした」と語り、笑い合っていました。

 自然なやりとりだったため、お2人にはリップサービスのつもりもないのかもしれません。しかし、エンタメニュースの記事を書く記者側からすると、和気あいあいとしたコメントのやりとりは、“撮れ高”としてありがたいポイントです。そしてこういった仲の良い雰囲気は、頻繁に共演してこそ醸し出せるものでしょう。

“まだ知らない人に知ってもらう”というミッション

 また、菅田将暉さんと小松菜奈さん、土屋太鳳さんと山﨑賢人さんのように短期間に共演を重ねると、真偽はともかく熱愛報道が沸き上がることも少なくありません。

 筆者は朝ドラ『まれ』を観ていませんでしたし、当時は新進気鋭の若手俳優に詳しくありませんでした。ですから、映画『orange -オレンジ-』ですぐに再共演を果たしたこと、さらに熱愛報道が出ていたことで、土屋さんと山﨑さんという役者を初めて認知しました。

“短期間で再共演”ということが話題になり、初めて主要キャストを目にしたり、その作品について知る人が多ければ、宣伝効果としては抜群。エンタメ作品をビジネスとして大ヒットさせるには、俳優や作品の既存のファンだけでなく、いかに認知していない人に知ってもらい、観てもらうかが重要だからです。

 作品を宣伝するうえで、“まだ知らない人に知ってもらう”というミッションは最重要かつ最難関です。このコラムしかり、“短期間で再共演”は話題になりやすいため、そのミッションを達成しやすくなるのでしょう。