44歳、人生80年とするならば折り返し地点を回ったところで、いまスタートを切って最初の5kmぐらいを走っている拙宅三兄弟の姿が見える感じがします。私も流石に体力は衰えてきたし、持病もあるので無理はできず、ゴールに差し掛かった親の面倒も見ながら生きていくのがマラソンだとするならば、転んだり腹が痛くなるのもまた人生なのでしょうか。

長男の様子を見ながら、体調の変化に怯える夏休み

 私も子供の頃からずっと身体が弱く、とにかく喉のリンパ腺が腫れたり中耳炎が治らず発熱を起こしては入退院を繰り返す小学校時代を送りましたので、とにかく自分の体力には自信がもてませんでした。健康って大事だよってずっと思って生きてきた人生です。

 そういう少年時代の体験もあって、介護と育児を人生の中心に据えて仕事をかなり減らしてセミリタイアすることにした私ですが、8歳になった長男が楽しみにしていた学校の夏休み2泊3日の宿泊学習(林間学校的なもの)前ぐらいから「腹が痛い」と訴えるのですごく心配していました。出ては消えを繰り返す腹痛と高熱。これには歯科医師(口腔外科医)で医学の知識のある家内も焦り気味で、また家内の体調も長らく芳しくなかったため、夏休みの予定を大幅に変更して、海外旅行や地方のお得意先巡りもキャンセル。長男の様子を見ながら、体調の変化に怯える夏休みを過ごしました。

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山本家の夏休みの一コマ

 男の子の親というのは難しいもので、もちろん男の子特有の向こう見ずな行動で生傷が絶えず、また日々騒いだり喧嘩したり泣いたり激しい要求に辟易したりする日々を送る反面、女の子に比べてやはり病気になりやすいようで……。思い返せば、三男も高熱でしばらく入院したり、次男も遊び中に板間の床に頭を打ち付けて救急車で運ばれたり、まあいろんなイベントはあります。毎季節、何か起きるのです。

 熱さえなければ元気な長男、趣味の宇宙や深海に興味爆発、次男や三男を巻き込んで都内の科学博物館や水族館にいっては、展示物を片っ端から見物し、何やらメモを取り、DVDを買い、図鑑で調べて自分でスケッチしています。誕生日プレゼントには顕微鏡を要望され、近所の汚い池や水たまりや泥をせっせと採取してきて、水で薄めてプレパラートで観察して楽しむ夏休み。元気なら三兄弟で近所のプールに行きますし、ロボットをいじり、望遠鏡で満月を観察している日々は、親として目を細めて見守るのみです。思い返せば、こんな私も子供の頃は未知なるものに心を躍らせていた日々があったように思います。44年の歳月は残酷です。あんなに純粋な探究心に満ち溢れていたはずなのに、私はどうしてこうなった。