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現在の皇室費と比較してみると……
当時の皇室には5000人近い職員がいた。この予算で全員の給料はもちろん恩給まで払っていたのは、今と違って、戦前の皇室財政は自己完結していたからだ。これは、議会の動きに皇室が左右されないためである。
潤沢な資金だから皇室費も今とは比較にならない。現在の高円宮家の皇族費は3690万円だが、当時の皇族費は秩父宮家で約3億6000万円。現在、眞子さまの皇籍離脱で渡される約1億4000万円が問題になっているが、当時は臣籍降下すると貰えたお金は28億円だった。
まるでミニ国家のような巨大組織だが、敗戦後、日本を占領したGHQによってことごとく解体された。血の系譜を狭めるために11宮家が皇籍離脱させられ、資産のほとんどが課税というかたちで国庫に入れられた。昭和20年にGHQが公表した皇室の資産は15億9061万円。今なら4兆円になるだろう。ここから現金1500万円だけ残されて戦後の皇室が始まったのである。
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奥野修司氏による「GHQが奪った天皇家の財産」は「文藝春秋」5月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。

