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葬儀の仕事には「正解」がなかった
――取材を通して印象に残っていることはありますか。
清水 葬儀業界には大手と呼ばれる葬儀社、家族経営の少人数の会社、ネット系葬儀社と呼ばれる会社があります。私は大手葬儀社に勤めている方と、地域に根付いた家族経営の葬儀社さんを中心に取材をしました。それぞれの立場で仕事への考え方の違いもあり面白かったのでネタにしています。
取材した皆さんが共通して仰っていて印象に残っているのは「葬儀の仕事に正解はない」ということでしょうか。
例えば「良いお葬式」というのはなんでしょうか。一人一人感じ方は違いますし、死生観も人それぞれ違います。葬儀社の顧客は直接的には喪主さんになりますが「誰の為の葬儀」なのかと言えば、故人のものであるし、喪主のものでもあるし、他の遺族、参列者の方の為など、なかなか一概に言えるものではないと思います。
形式に関しても、通夜・告別式という流れが一般的である印象ですが、親族中心で行う「家族葬」、また通夜も告別式も省略し、火葬のみを行う「直葬」などもあります。宗派や地域によっても様々な風習があり、それぞれフォーマットはありますが、故人の生前の状況、喪主を中心に遺族の事情も葬儀には関わってきます。なので正しい葬儀の形はない、と取材を通して思いました。
命や死を描く漫画として「医療モノ」というジャンルは作品も数多くあると思います。「医療モノ」では命を救うことが正解、一つのお話の結末になります。しかし葬儀の仕事に関しては「この弔い方」という正解がないので、漫画を描く上で難しいところであり面白いところでもあります。