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葬儀の規模を決めるのは「年賀状の枚数」!? 知らないと損をする“お葬式”のリアル

漫画『終のひと』作者インタビュー

2021/04/27
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葬儀は他人事ではない

――いざ喪主をやらねばならない状況を想像すると、本当にどうしたらよいか迷いますよね。

清水 葬儀がテーマの漫画を描いていながら、自分でも絶対に混乱すると思います(笑)。実家の宗派やお墓事情など把握できていませんから。また親族や故人の友人への連絡なども戸惑うと思います。漫画では最初に「エンディングノート」を登場させているので、連絡まわりはスムーズなのですが。

 取材の際に伺ったのですが、葬儀の規模を決める上での基準として「年賀状の枚数」というのが一つの参考になるとのことです。年賀状のやり取りをしている間柄というのは、亡くなった際に連絡を取ってもまず差し支えないだろうと。最近は年賀状のやり取りも減ってきているので、今後はわからないところですが。

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準備の時間がない冠婚葬祭

――葬儀は亡くなってから、すぐに行う印象も強いです。

清水 正確にはいつまでに行う必要があるという取り決めはないのですが、通常亡くなってから1週間ほどで行われる事が多いと聞きます。

「冠婚葬祭」と括られる中で、唯一時間をかけて準備できないのが葬儀です。死は誰にもいつか訪れる事ですが、その亡くなった後のことを準備できている人は少ない。そしてこれから喪主を務める可能性が高い我々も、親の葬儀の準備や覚悟ができているかというと、不謹慎の怖れもあってか現実的に想定している人は少ないでしょう。

 

――コロナ禍でまた葬儀の形も変わってきているようです。

清水 葬儀の小規模化や家族葬、あとはやはり接触の機会や時間を減らす「一日葬」の需要が増えているようです。「リモート葬」というのも注目されています。

 最初のエピソードで描いた葬儀は「直葬」です。通夜や告別式という宗教儀式を行わずに火葬をする形式です。少ない参列者で、また金銭的負担も最小限になる形式ですが実際に直葬を行う際には注意することが多いです。一般的に行われる儀式がないため親族の合意がなければトラブルの元になりますし、家によっては菩提寺との関係性も考慮する必要がある場合もあります。

 コロナ禍で葬儀の形に様々な制限がありますが、どう弔うのかを考えた上での選択がこの作品のテーマです。皆さんが今後の葬儀について考えるきっかけになってくれれば作家冥利につきます。

◆◆◆

『終のひと』第1巻は、本日4月27日(火)発売されます。

終のひと(1) (アクションコミックス)

清水 俊

双葉社

2021年4月27日 発売

葬儀の規模を決めるのは「年賀状の枚数」!? 知らないと損をする“お葬式”のリアル

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