2020年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。社会部門の第5位は、こちら!(初公開日 2020年7月12日)。

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 指定暴力団6代目山口組と神戸山口組の対立抗争が激化したのは、6代目山口組のナンバー2、若頭の地位にある高山清司(72)が恐喝事件の刑期が満了して、昨年10月に府中刑務所を出所して以降のことだ。

 対立する暴力団組織との抗争事件やシノギと呼ばれる資金獲得活動など、警察当局に違法な活動をマークされているヤクザたちにとって、刑務所に服役するいわゆる「ムショ暮らし」は常に覚悟していることだという。

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府中刑務所を出る、6代目山口組の高山清司若頭(左)(2019年10月) ©共同通信社

 稲川会系幹部が自らの体験を語る。

「山口組や住吉会とケンカして傷害などで数回にわたって刑務所に入った。合計すると11~12年になる。検察が起訴して捜査がほぼ終了すると拘置所に送られる。ここではまず全裸になってケツの穴まで調べられる。出廷して刑が確定すると刑務所だ。ヤクザだから特別ということはあまりないが、刑務所内ではやはりヤクザということで受刑者の間ではそれなりの扱いがなされる」

 基本的な生活パターンは、朝は午前7時前に起床し8時から刑務作業となる。10時から15分ほど休憩があり12時から昼食。午後1時から再び作業で、午前と同様に休憩をはさみ5時に終了し夕食。その後は毎日ではないが風呂や自由時間などがある。午後9時には消灯となり就寝となる。

「自分は金属加工。ナベを真面目に作っていた」

 この幹部は、「自分は金属加工の仕事をやっていた。ナベなどを作っていた。簡単な作業だが真面目にやっていた。しかし、夜は9時なんかには寝られないから困った」と明かす。

 刑務作業には作業報奨金が支払われることになっている。しかし、この幹部の場合は月に3000円程度にしかならなかったという。

(写真はイメージ)©iStock.com

「自分の場合は事件を起こして逮捕され、一審判決で実刑が出ても控訴しない。量刑が納得できるかどうかは別として受け入れる。裁判所にも検察庁にもこれ以上は迷惑をかけない。裁判所で言われたとおりに服役する」(同前)

 山口組との対立抗争事件で長期間服役した経験がある住吉会系幹部も同様に、「一審で結論が出たら従う。控訴はしない」と言い切る。

「ヤクザになって社会に迷惑をかけるかもしれない存在だから、警察に逮捕されて裁判所で結論が出たらそれに従う。控訴していつまでもぐずぐずしているより、潔く服役するのがお勤めだ。それが渡世人というもの。ヤクザはムショ暮らしと背中合わせ。服役もヤクザとしての業務の一環のようなものだ」(住吉会系幹部)