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「西麻布の2万円ディナーからコンビニコーヒーの生活に一転…」 “マッチングサービス”を起業した30代経営者が電通を4年で辞めた理由

森本萌乃さんインタビュー#1

2021/05/03
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ビジネスって、絶対一人じゃできない

──起業後、どのようなご苦労がありましたか。

森本 ご苦労だらけですよ(笑)。私は起業したかったわけでも社長になりたかったわけでもなく、お客さんに向き合いたいという思いだけで会社を作ってしまったので、お金もないし、経験も知識もない。それでも、「本棚で手と手を合わせたい」という思いに共感してサポートしてくれる人の輪が少しずつ広がってきたのは、本当にありがたいことです。

 いま実感として思うのは、ビジネスって、絶対一人じゃできないということです。Chaptersは、アイディア先行で、自己資金を投じて、私の家のリビングルームで始まったようなサービスだったので、ある程度は1人でできるとたかをくくっていました。でもそれは違っていて、仲間や協力者がいなければ絶対に諦めていたしサービスを世に出せていなかったと思います。まだまだ満足な対価をお渡しできていないのに、ビジネスの未来に魅力を感じてサポートしてくださる方がいることが、今では大きな支えとなり、私も何があっても負けないという気持ちで、歯を食いしばって頑張るモチベーションになっています。

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「なんとなく」決めたことって、その後のズレが少ない

──うまくいかなくて落ち込んだりくじけそうになった時はどうやって気分転換されているのですか。

森本 私、すごい忘れっぽいんですよ。すごい落ち込んだ次の日に「なんて素敵なサービスをやっているんだ、私は」と自信満々で会社に来られる。落ち込みが2日続いたり、1週間続いたりすることもあるんですが、自分で絶対気持ちがあがってくる。これはもう才能だと思います。

 学生時代、ソングリーディングのサークルを立ち上げたんですが、私がチアを始めたのは、楽しそうだし、かわいくていいなとなんとなく思ったからなんです。電通に入りたいと決めたのも「なんとなく自分に合っていそう」だからですし、「なんとなく」決めたことって、結局直感にあっているので、その後のズレが少ないんですよ。だから、人生で大切なことは、「部活動を決めるくらいの勢いとはったりで決める」覚悟で生きる。実はこれが、人生を楽しくするメソッドなんじゃないかと思っています。

【続きを読む】「無能な経営者」と言われても…「本」のマッチングサービスの起業家、森本萌乃が送る“ロマンチック”な出会い

(取材・構成:相澤洋美、撮影:文藝春秋/杉山秀樹)

「西麻布の2万円ディナーからコンビニコーヒーの生活に一転…」 “マッチングサービス”を起業した30代経営者が電通を4年で辞めた理由

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