5月の選書テーマは「すごい女」
──テーマはどのように決めているのですか。
森本 季節にあわせた気持ちをテーマにあげています。
たとえば、4月は「桃の花がすごくいい描写で出てくる小説」が選書の真ん中となり、最終的には「スタートライン」というテーマで、新しいことに挑戦する主人公が登場する4作品を選びました。
5月は文春文庫に選書をお願いしたのですが、文春を選んだのは、5月病で落ち込む人が多い時期に、強烈なフィクションの世界で束の間でも現実世界から離れることができる作品を提案したかったからです。文春は「文春砲」のイメージが強いですよね。でも小説もすごいんですよ。「人の気持ちをここまでエグって生々しく書いていいのか」と、読後グッタリ疲れる本が多いイメージが私の中にあります、長編で疲れる小説はだいたい文春文庫なんじゃないかという(笑)。なので、今回は「 “文春砲”のイメージそのままに、生々しい人間関係を描いた本をお願いします」と依頼して、その結果出来上がったテーマが「すごい女」になりました。
4作品のラインナップは、「元彼に依存する女」「恋愛観がクズの女」「承認欲求に狂う女」「復讐に燃える女」です。推薦文とクリエーティブで、直感をたよりに選んでいただきたいのですが、本気で全部面白いので、届けるのもすごく楽しみです。
──出版社の選書だと偏りが出てきそうですが……。
森本 私も最初は「出版社区切り」は足かせになると思っていました。でも、出版社と組むことで、逆に最高の布陣が出揃いました。
例えば4冊のまとまりやバランスがよくても、利用者はその中の1冊しか読みません。だから、テーマにおさまる4作品が綺麗に並ぶよりも、「1冊1冊が強烈に面白い」ということが大事なんです。その点で、出版社の方との選書は面白いです。ご自身も本作りに携わっている分、本一冊にかける愛情が強くかなり読み込んでいらっしゃるので、表層的ではなく、深い部分でテーマに通ずるような本をズバッと選んでくださいます。
「人生に失敗はない」というのも大事にしています
──サービス名を「Chapters」と名付けたのは。
森本 物語をめくるように、自分の人生を少しずつ進めてほしいと思ったからです。そのためには、提供する私自身も自分の人生を面白くしないといけないので、現状に満足せず、どんどん進化していかなきゃいけないと思っています。
企画を考える時も、結局最初に「なんかいい!」と思ったものが一番面白かったりしませんか?あれこれ考え難しくこねくり回さずに、どうすれば「なんかいい!」の形を変えず届けたいものがまっすぐそのまま届くか、そんなことをいつも考えています。