【監督・プロ野球死亡遊戯からの推薦コメント】
全セが勝ち越し王手をかけた5戦目は“文春野球界の山本昌”こと、技巧派・竹内さんの登場です。人呼んで“立ち飲み系ドラ野球雑談家”。いい時も悪い時も中日ドラゴンズを、そしてプロ野球を見守り続けてきた竹内さんの筆致をご堪能ください!
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10年前は名古屋の街が沸いていた!
只今の時刻、11月1日23時を過ぎたあたり。締切が迫っている文春野球日本シリーズ第5戦原稿を書いている最中である。奇しくもこの日は、10年前の2007年、我が中日ドラゴンズが53年ぶりに日本一に輝いた日なのである。そう言い返せばまるっと10年、天下を取っていないわけで、ファンの立場からすればティアドロップ型の悲しきテンダイヤモンド指輪をドラゴンズ球団からもらいたい気持ちでいっぱい。つくづく野球は勝たなきゃダメだと思うばかりである。
さてリアル日本シリーズは先発ルーキー濱口が7回1/3までノーヒットに抑える大好投。また打撃面もようやくマシンガン打線が火を噴き、6−0の圧勝! ようやくDeNAが一矢を報いた。3連敗の後のこの1勝。このまま勢いづいたベイスターズが一気に行くか!? 3位チームから勝ち上がり、また日本シリーズ3連敗からうっちゃる、これが本物の下克上! そのためには今夜のゲームを絶対モノにしなければならない。ましてや圧倒的有利の地元横浜。ベイスターズファンの熱い想いは当たり前。プラスするのは今以上の選手を鼓舞するスタジアム演出。それは音だ!
効果音が勝負を決める!
時を同じくして、アメリカでもワールドシリーズが真っ盛り。今日最終戦となる第7戦、ドジャースの先発はダルビッシュということもあって、この原稿がアップされる頃は日米ともにヒートアップしている頃ではないだろうか。テレビ観戦でも興奮するわけで、さぞかし現地で観ている人は一球一打にレギュラーシーズン以上のエネルギーを費やしているに違いない。
球場の熱気は日米甲乙つけ難い。しかし盛り上げ方は全く異なる。それは応援方法が違うからだ。日本にあってアメリカにないもの。アメリカにあって日本にないもの。前者は応援団が主となって多くのファンとともに贔屓チームを盛り上げる。アメリカはその逆。群れではなく個。一人一人が思いの丈を声に出して選手そしてチームにぶつける。では後者は何か。それは効果音、効果音楽ではないか。日本でも今ではイニングの合間にノリの良い曲やハモンドオルガンの演奏を流すケースも増えてきたものの、アメリカのように観客を飽きさせない“音のつなぎ”はまだまだ見せていない。
例えばこのような時だ。ホーム上のクロスプレーで判定が微妙で審判団が審議中の場合、バッターのハーフスイングのジャッジに激怒した監督がもめにもめて引き下がる時期を逸した時等、短い時間とはいえども野球自体が止まっている。日本ではその間ファンをほったらかしにしている。その点ショービジネスに一日の長があるアメリカは違う。ジャッジを小バカにしたような曲を選曲し、明るく堂々と流す。とにかく席に着いてからゲートを出るまで客を飽きさせないのがアメリカ流。そこで話は戻って日本シリーズ第5戦の秘策へ。ベイスターズを今一度福岡へ戻す為の秘策として是非とも今夜からゲームの始まりか終わりまで効果音楽で相手を打ち負かせようではないか!
最大なるポイントは応援チームを盛り上げる。これ基本中の基本。そして誰でも知っている世間一般に馴染んだポピュラーソング。そして忘れてはならない横浜という地。ここまで揃えば、ベイスターズを盛り上げる音は彼をおいて他にいない。そう桑田佳祐だ。