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犯行が可能だったのは早貴しかいない

 事件から1年を過ぎた時点で、捜査当局はXデーを見据え、関係者の調書を次々と完成させている。捜査に協力した野崎氏の知人もこう証言する。

「早貴のことを中心に聞かれました。調書作成の際、検事さんから『もし裁判(公判)になったら同じことを証言してくれるか』と聞かれ、了承しました」

 だが、そこからしばらく捜査は停滞。別の捜査関係者が明かす。

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「任意聴取の様子からも、早貴は徹底的に否認すると思われ、覚醒剤を入手したことが分かっても、その日、殺意を持って野崎氏に覚醒剤を摂取させたことを、どう立証するのか、公判の難しさも想定できた。一方、現場がもたもたしている間に早貴が海外逃亡する可能性も出てきた。状況証拠の積み重ねによる消去法だが、犯行が可能だったのは早貴しかいない。そこで、昨年夏に就任した、前警察庁捜査一課長の親家和仁・和歌山県警本部長と警察庁が主導するかたちで、今回の逮捕に至ったのです」

須藤容疑者

「殺人容疑で逮捕」の舞台裏

 当初は“入口”を詐欺容疑とする方針もあったが、いきなり殺人本件に。それにはこんな舞台裏があった。

「早貴が知人から借りた5000万円を返してない金銭トラブルの立件も検討されたが、早貴の方も、逮捕される日に備えて、腕の立つ弁護士を雇い、入念な打ち合わせをしている。別件で逮捕しても否認は目に見えており、殺人容疑で逮捕すれば、空港で弁護士が来る前に話を聞く時間も確保できる。それなら最初から本件で行こうと」(同前)

 裏を返せば、捜査当局はそれだけ殺人の立件に自信を持っているともいえそうだ。