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2021/05/09

source : 文藝春秋 digital

genre : ライフ, ライフスタイル, 教育, 社会, 政治

結婚・出産への迷いは「不思議と考えたことがない」

――なるほど。豊田さんも後に転身されますが、厚労省での働きがいはどうでしたか。

豊田 仕事が大好きで、楽しくて、1日20時間くらい働いていました。責任の重い仕事や大変な仕事をいただくほどありがたいですし、越えられないハードルはないと思っていました。越えるために条件反射のように頑張るという……おかしな人に聞こえますか(笑)。

――いえいえ(笑)。1日20時間働くほど充実していて、ハーバード大学大学院で公衆衛生学を修めて、2009年の新型インフルエンザパンデミック当時はWHO担当外交官を務めて。順調にキャリアアップしている時に、結婚・出産をすることには迷いはなかったですか。

取材のために、様々な資料やメモを準備していた豊田さん

豊田 何に対する迷いですか。

――自分のキャリアがここで一旦足止めを食うとか、出産後に居場所があるかとか……。

豊田 不思議と考えたことがないです。どんなことも頑張ればなんとかなる、と思っていたのかな。

――でも男性によっては妻に仕事をセーブしてほしいと言うこともあるかと。

豊田 そんなことを言う人とは結婚しません(笑)。夫とは、出会った瞬間にこの人と結婚するなと思ったんですよ。まだ一言も話もしないうちからそう感じて本当に結婚しました。

夫と出会って、私はここにいていいんだと思えた

――えっ、そうですか! ハーバードで出会ったんですよね。

豊田 はい。彼が1年早く留学していたので1年早く帰国して、母がすぐ血相を変えて会いに行ったと後に知りました。

 

――結婚によって人生が豊かになる面はありましたか。

豊田 それは大きかったです。若い頃から「自分は生きている価値がない、誰にも必要とされてない」と思っていたけれど、夫と出会って、私はここにいていいんだと思えました。そこで自己を肯定できない生き方を一度乗り越えて、でもその後で転落していますからね……。