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堀の水面がピンクに染まる「花いかだ」も幻想的…弘前城が“全国屈指の桜の名所”である理由

2021/05/10
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豪雪地域らしい、骨太な城門

 現存する5棟の城門、3棟の櫓も見どころです。城門はいずれも柱が太く、屋根の軒が直線的。豪壮で骨太な印象です。一重目の軒が少し高めにつくられているのは、豪雪の重みに耐えるための工夫でしょう。

 注目は、門の両側が石垣ではなく土手のように土を盛った「土塁」であること。これは、石垣よりも土塁が主流だった東北地方らしい特徴といえそうです。追手門は土塁で枡形がつくられています。

現存する追手門。
追手門の両側は、石垣ではなく土塁になっている。

 5棟の城門はすべて枡形門で、北門(亀甲門)以外は上層の壁面に鉄砲狭間が見られます。現在は追手門が正面玄関ですが、4代藩主・信政の代までは北門が正面でした。

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 二の丸内に現存する3棟の隅櫓は、すべて三重三階。防弾と防火に配慮した土蔵造りで白漆喰塗り、屋根は銅板葺(はじめはとち葺)で、窓の形や妻の構造などの装飾が少しずつ異なります。

現存する北門。かつてはこちらが大手だった。

撮影=萩原さちこ

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 弘前城をめぐる旅の模様は、「文藝春秋」5月号の連載「一城一食」に掲載しています。

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