「ヤクザと女」のトラブルが続くのは、暴力団が女性をシノギ(資金源)にしているという理由もある。「女はカネになる」という考えだ。
警察は賭博や違法薬物などとともに、「売春」を伝統的な資金源と定義づけしてきた。売春は最近でも定期的に警察当局によって事件化されているが、現在の暴力団にとって女性をめぐるビジネスとしては、風俗店からの収入が主流となっているとみられている。
ヤクザの手口を真似ているのは……
ヤクザと女性をめぐる事件では、一般的には「美人局」がイメージされるかもしれない。女性と知り合って交際を始めたところ、「ヤクザの女に手を出したな」とコワモテの男が登場して金品を脅し取られるケースだ。
こうした美人局について、指定暴力団の古参幹部が指摘する。
「最近は、ローリスク・ハイリターンの振り込め詐欺が主流で、ヤクザが美人局のようなシノギに直接かかわることは少ないだろう。それよりも、カタギの素人さんがヤクザをかたって恐喝まがいのことをしている。これは怖いもの知らずではないかと思う」
2015年1月には、古参幹部が指摘するような事件が大阪府警に摘発された。
大阪市の飲食店経営の男(30)ら4人が30代の司法書士の男性に10代の少女を紹介して関係を持たせ、「ヤクザが家に来て、家族が無茶苦茶にされるぞ」と5000万円を脅し取ったとして逮捕された。暴力団による犯行ではない変則型の美人局と言えそうだ。
風俗店のみかじめ料で莫大な利益
美人局とは別に、警察当局は「売春」を暴力団の資金源のひとつとしてあげている。
組織犯罪対策を長年にわたり担当してきた警察当局の幹部は、「かつての管理売春のような事件もたまには摘発されるが、現在は少ない。暴力団は風俗店のみかじめ料などで大きな利益を得ているはずだ」と指摘する。
これまで、全国各地の公安委員会が、風俗店からみかじめ料などの名目で資金を要求していたとして暴力団側に対して暴力団対策法に基づき中止命令を出してきたほか、悪質なケースについては同法違反で摘発してきた経緯がある。