ヤクザが女性をめぐって起こす事件が後を絶たない。いつの時代も男と女の間にはトラブルが付き物だが、そこに暴力団が関与することで事件に繋がっていく。
そんな「ヤクザと女」をめぐる事件について、警察当局の捜査幹部や暴力団幹部が、その実態を明かした。
指4本をナタで切り落とされたケース
この5月にも、男女のトラブルをめぐって知人男性から現金約1500万円を脅し取ったとして、山口組系組員の男(41)が警視庁に逮捕されている。
逮捕容疑は次のようなものだ。逮捕された組員は、仲間の男から「刑務所に入っている間に、元妻が男性Aと男女の関係になった」と相談され、八王子市内の喫茶店などで男性Aを11回にわたって恐喝。男性Aから現金約1500万円のほかにも、車や腕時計も脅し取っていたとされる。組員は容疑を否認している。
この事件は、一般の男女トラブルに暴力団が介入したとされるケースだが、暴力団の中でも服役後の男女トラブルは少なくないようだ。暴力団犯罪の捜査に長年にわたって従事してきた警察当局の捜査幹部OBが振り返る。
「かなり前のことだが、ある兄貴分のヤクザが、弟分である舎弟の左手を別の若い者に押さえつけさせて、親指を除く左手の人差し指から小指までの4本をすべてナタで切り落としてしまった。
理由は兄貴分がある事件で逮捕されて刑務所に長期間にわたり服役している間に、弟分が兄貴分の女に手を出して、出来てしまった。兄貴分が刑務所から出所してきてしばらくしたら、その関係がばれてしまった。そのケジメをつけさせたということだった。ヤクザの世界でも、今では考えられない出来事だった。現在だったら傷害事件として警察の捜査対象になるだろう」
数十年のキャリアがある指定暴力団の古参幹部は、逆のパターンのトラブルについて打ち明ける。