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 前出の指定暴力団の古参幹部も、次のように打ち明ける。

「風俗関係が出店するにあたり、その地域を縄張りとしているヤクザに黙って店を出すことはまずない。必ずあいさつに来る。そうでなければ、どこかの組が押しかけるだろう。すぐにトラブルとなってしまう。店としてもあいさつしておけば、様々な問題が起きた時にすぐに解決してくれる。

 俗に『飲む、打つ、買う』というけれど、これはヤクザの三種の神器のようなもの。博打は当然、だれであろうと縄張り内では無断で行うことは決して許されない。飲み屋もみかじめ料をどうするといった問題が出てくる。女が働くキャバクラやスナック、風俗店も同様だ」

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(写真はイメージ)©iStock.com

風俗を始める若者に「ヤクザがカネを出す理由」

 近年では暴力団組織に所属せずに、違法行為によって資金を獲得している「半グレ」と呼ばれる若者グループも暗躍している。

 この「半グレ」がデリバリーヘルスなどの風俗店を開業するにあたり、暴力団幹部に出資を求めてくることもあるという。

 東京で活動している指定暴力団幹部が、「半グレ」の活動ぶりなどについて語る。

「半グレの若い連中がやってきて、『風俗店をやりたいので資金を出してほしい』と言って来た。事業計画のようなものを説明するので相応のカネをだしてやった。ある時期からせっせと稼いだうちの何パーセントかのカネを持ってくるようになった。真面目に仕事をしているのだろう」

 別の指定暴力団幹部が、ほとんど面識のない若者にヤクザがカネを出す理由について解説する。

「ヤクザは夜の街に飲みに出かけたら、格好をつけて宵越しのカネは持たないと散財したがる。これと同じように、若い者がカネを都合してほしいと頼んで来れば、『いくら必要なのだ?』と応じてやる。たとえ懐が寂しくともだ。ヤクザとはこういうもの。

 こうした習性を知っている詐欺師には、『ヤクザほどだましやすいものはいない』とうそぶくのもいる。実際に詐欺師に数千万円をやられたヤクザの話を聞いたことがある。逃げられてしまい、追いかけようがなかったらしい」

 変化する“夜の街”のシノギについて、警察当局は引き続き監視を強めている。(年齢、肩書きは当時)