昨日、待ちに待ったクライマックス・シリーズ(以下CS)が幕を開けた。私が応援する阪神タイガースは、まず本拠地・甲子園で横浜DeNAベイスターズと対決。

 ベイスターズといえば、言わずと知れた筒香嘉智、今季打点王のロペス、同じく首位打者の宮崎敏郎など、とにかく打線が強力というイメージがある。そもそも、このチームはかつて長期低迷していた時代から、村田修一や内川聖一など生え抜きの強打者に関しては安定的に輩出してきたため、私としてはうらやましさがあった。チーム成績はともかくとして、そういう強打者の育成能力は我が阪神にもっとも欠けている部分だからだ。

プロ野球史上初の60試合登板クインテットの誕生

 一方、今季の阪神のセールスポイントはやはりリリーフ投手陣の磐石ぶりだろう。ドリスとマテオという風貌が似ている外国人コンビに加え、桑原謙太朗、岩崎優、高橋聡文のリリーフ5人衆が全員60試合以上の登板を果たし、防御率も2点台以下と、驚異的な好成績を残した。なんでも1チームで5人の投手が年間60試合以上の登板を果たしたのはプロ野球史上初だとか(後にベイスターズも達成)。すなわち、“60試合登板クインテット”の誕生である。

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37セーブを挙げて最多セーブのタイトルを獲得したドリス ©時事通信社

 また、彼らに次ぐ登板数(52試合、3勝0敗6H、防御率2.22)を記録したのが37歳のベテラン・藤川球児だ。かつての絶対的守護神も近年は衰えたというイメージが先行しているが、普通の物差しで測れば十分に優秀な成績を残している。全盛期の火の玉ストレートが鮮烈すぎたため、それでも見劣りしてしまうのだろう。

 確かに、これだけ強力なリリーフ投手が数多くそろっていると、チームとしては頼もしい。かつて「球界に革命を起こした」とまで言われた鉄壁のリリーフトリオ・JFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)を生み出したように、阪神は伝統的にリリーフ陣の整備に長けている。1990年代の暗黒時代も、そこは質量ともに豊富だった。

 かくして、この強力リリーフ陣こそが阪神の勝敗の鍵を握っているようにも思えるのだが、その一方で先発投手陣のクオリティ・スタート率についてはリーグ最下位(47.6%)に終わっており、そこは大きな気がかかりだ。今季の60試合登板クインテットの誕生は、言い換えれば先発投手が早い回で降板しがちだったということだ。エース・メッセンジャーの故障離脱や藤浪晋太郎の不振などが、その要因のひとつだろう。