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花に託す「自分だけの視点」

 広島県呉市出身の藤岡亜弥さんはこれまでに、アジアやヨーロッパ、米国に滞在・生活した経験を持つ。近年は拠点を広島に移し生活している。どこに暮らしても絶えず写真を撮り、作品を生み出してきたことは変わらないし、撮影地の影響をほとんど受けないのは驚異的ですらある。いつどこで何を撮っても、いかにも藤岡さんらしい雰囲気をまとった写真が現れ出るのが不思議だ。

 

 土地によって空気感も違えば、カメラ機材も替えているだろうに、なぜそうなるのか。

 写真がいつも薄い擦りガラスを通したような色合いで統一されていることは、「変わらなさ」を演出するひとつの要因だろう。また、カメラを向ける方角やアングル、シャッターを押すタイミングがとことん独特なのもたしかだ。

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 たとえ同じものを見ていたとしても、藤岡さんが気に留める対象や瞬間は、どうやら人とずいぶん違う。それで彼女の写真には、定型に決して陥らぬ「自分だけの視点」が常に盛り込まれることとなる。

 

 ふだんあまり意識しないけれど、気づけばいつもそこにあるもの(たとえば花だったり)の美しさやありがたさ。藤岡作品を通して、たしかめ直してみたい。