「デジタル人材」は業務への理解も重要
――横山さんは「デジタル人材」についてどうお考えですか?
横山 デジタル人材とは、テクノロジーに親しんでいることは当然のことながら、やろうとしている新規サービス開発の目指すところ、その業務を理解しながら、競争に前向きにチャレンジしていく人材だと思っています。デジタル人材に求めるべきことは、技術をハンドルすることだけではありません。あくまでそこに業務への理解、モチベーションがなければならない。
ですから採用する側は「とりあえずAIの人を」みたいな構えではミスマッチを生むと思っています。デジタル人材を採用するには、まずどんな企画にどんな才能が必要か、そこを明確にすることが大前提。要は、どんなサービスを開発したいのかを起点に考えなければならない。AIに強い人材を、あるいはデータ分析に長けた人材をバサッと採用して「じゃあサービス作って」と言っても、それは無理な話です。例えば新規プロジェクトでクラウドをゴリゴリに使い倒したいけどその人材が不足しているなら、AWSに精通した人を探して、チームに入ってもらうといった発想です。
――マネージャーにはデジタル人材のキャスティング能力が問われてきますね。
横山 そうですね、そしてデジタル人材のモチベーションを上げるためには、そのプロジェクトや製品は何を目指しているのか、そのコアコンピタンス、競争相手を圧倒するような価値とは一体何なのかをハッキリと示してあげる必要もあると思います。
――社内でデジタル人材を育てる試みはされているんですか?
横山 この4月から先端研究開発センターという機関を作りまして、我々自身のリソースの中でサービス構想とそのプロトタイプを作ってみようという取り組みを、ちょうど始めたところなんです。弊社は1000人規模の会社なのですが、そのうち200人から300人がシステム系に従事しています。また、東証システムサービスという子会社や、パートナーベンダーで常駐の方々もいらっしゃいます。そうした内部人材が手を動かしてチャレンジしてみながら、そのプロジェクトがうまく発展していけるようであれば、ここに外部人材を登用したいと、まずは目標を明確にして進めているところです。