エラー運賃を見つけたときにしてはいけないこと
しかし、エラー運賃の場合、これらのサイトで情報がアップされてから1日以内、場合によっては数時間で航空会社が対策を行い、購入できなくなってしまうことが多い。そのためには、まめにこれらのサイトにアクセスするしかない。
ちなみにこれまでエラー運賃ということばを何度も多用してきたが、そもそも激安の航空券がエラー運賃なのか、それともセール運賃であるかの見極めは難しい。航空会社が「これはエラー運賃ですよ」と宣言するわけではないからだ。
たとえば筆者は2017年2月に利用したデルタ航空は、東京発ニューヨーク往復のエコノミークラスが総額24700円だった。これが航空会社が意図した運賃だったのか、あるいはエラー運賃だったのかはいまだに分からない。航空会社は時として告知を行わずに非常に安いセールを出すことがあるからだ。ただし、相場よりもあまりにも安い場合や、発売したにもかかわらず、すぐに発売を取り消したことによってエラー運賃の可能性が高いと認定されるにすぎない。
旅行者からすればエラーだろうがセールだろうが激安であればかまわないが、エラー運賃の場合には、後に航空会社によって予約がキャンセルされる可能性がある。そのため、かりにエラー運賃を運よくゲットしたとしても、しばらくはその航空券以外の航空券やホテルなどの手配は控えたほうがよさそうだ。
ちなみに航空券情報に詳しいブログ「ワン・マイル・アット・ア・タイム」を主催するLucky氏によれば、最近話題となったおもなエラー運賃の結果は次のとおりだ。
2017年10月 ブリティッシュエアウェイズのイギリス発エクアドル往復ファーストクラス1050ドル(前述したもの)→キャンセル
2017年9月 ニュージーランド航空のオーストラリア発アメリカ往復ビジネスクラス1100ドル→キャンセル
2017年8月 全日空のバンクーバー発シドニー往復ビジネスクラス700ドル→キャンセルされず
2017年7月 カタール航空ビジネスクラスのベトナム発サンパウロ行きビジネスクラス683ドルほか→キャンセルされず
アメリカ運輸省は、エラー運賃であったとしても、いったん購入された航空券の金額を、航空会社が後で引き上げることを禁じていた。しかし、2015年5月、運輸省がエラー運賃については購入後の価格引き上げを認めて以降、特にキャンセルが多くなっているようだ。
エラー運賃については次のようなことがいえるだろう。
(1)エラー運賃はいつどこの国からどこの国行きの航空券で出るかまったく予想できない。そのため、時間に融通が利くうえ、出発地や目的地に対してえり好みをしない柔軟性が求められる。
(2)エラー運賃を見つけるには英語のサイトなどを根気強くウォッチングする必要がある。
(3)エラー運賃を見つけたらあれこれ悩まずにすぐに購入する決断力が求められる。
(4)エラー運賃はしばしば予約発券後に取り消されることがある。もし取り消されてもあきらめる度量の広さが必要だ。
ちなみにエラー運賃の情報のやりとりをする世界で鉄則とされることがあるらしい。それは「航空会社に電話するな(Don't call the airline)」。航空会社に電話すれば、エラー運賃の存在に航空会社がいち早く気づいてしまい、修正されてしまうからだ。
ネットの世界では、日々熱心な航空券マニアと航空会社の静かな、しかし仁義なき戦いはいつ、どこで勃発するのか分からないのである。