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フリーランスは、70、80まで働くことを想定しないといけない

――それでも倉田さんはいま「描く人」が一番の目標ということですよね。フリーランスで長年仕事をやり続けるための極意も、Twitterで発信されていました。

倉田 20代の人が「ちょっとフリーでやってみようかな」って言う「フリーランス」って、10年先も見てないことが多い。大体3、4年後とかね。でも違うんですよ! われわれは退職金がないから、その分まで働かなきゃいけない。

 

 だとすると70、80まで働くことを想定しないといけないわけですけど、漫画業界でそこまで息長く描き続けるためには相当いろいろやらないと生き残れないです。特に私がやってるギャグ漫画というジャンルは寿命が短い。やっぱりギャグのキレって若いほうが面白いし、絵柄も感覚も古くなってしまうから。

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 漫画は『鬼滅の刃』みたいに一発当たるとデカイんだけどね。小学生のランドセルに鬼滅のキーホルダーとかついてるの見ると、私には全部チャリンチャリーンってお金に見えますよね(笑)。

生殺与奪の権は自分で握りたい。究極は「バーのママ」

――『だめんず』も大ヒットしましたが、それでもフリーランスで生き続けることは大変なんですね。

倉田 私なんか小当りですよ。有名になるのと売れるのは別。名前はそこそこ知ってもらえるようになったけど、私は売れてないから。

 フリーランスという話で言うと、私はデビューした23歳から30年近く、何度も何度も何度も「これで終わりです」という打ち切りという名の戦力外通告を受け取ってきました。私の場合は自分から仕事を切ることはないから、どんな仕事でもいつかは絶対に終わりを告げられるわけです。

 それでも原稿料を気にして作品を描きはじめたらまたいつか切られるサイクルに入ってしまう。だからいまはたとえ無収入だったとしても、「自分から積極的に描く」ってことをTwitter漫画でやってます。

 自分自身で発表している限り、終わりは私が決められる。それは一番ストレスがないですよ。一銭にもなってないけど、テレビの仕事含め、「終わりです」「最後です」っていうのをさんざんっぱら言われてきて、その繰り返しにもう疲れました。

 だから究極的にはバーのママもいいなって思ってます。「今日はいい漬物入ってるよ」みたいなね。

 お店は資金が止まったらやっていけないけど、店をやるかやらないかは自分の自由意思。生殺与奪の権は自分で握らないと駄目だよね。だからそういう意味でバーのママは究極のかたちなんです。オープンした際にはよろしくね(笑)。

【倉田さんの漫画を読む】「今月は来たか…」耳にするのは怖い話ばかり、アラフィフ女性が感じる“若い頃とは違うドキドキ”

 

写真=深野未季/文藝春秋

INFORMATION

倉田真由美さんと弁護士の三輪記子さんによる「みわたまチャンネル」はこちらから

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