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東京行き新幹線、駅のホームで

 ふと、2週間ちょっと前の事を思い出す。

 10月1日、8連戦の真っ只中、koboパーク宮城でのマリーンズ戦デーゲーム、これに敗ければもう後がないという戦いに敗れてしまった。失意の中、球場からどうやって駅に向かったかは覚えていない。大阪に帰るため19:30仙台発の東北新幹線に乗り込もうと駅のホームにいた。僕の目の前に、スーツでビシッときめた大柄の男達が大勢いる。よく見ると礒部公一コーチに、池山隆寛コーチ、他スタッフの方々。次の日からのライオンズ戦、敵地に向かうための移動と同じ便であった。

 新幹線に乗り込むコーチ陣に、なにもやましい事はないのに、なぜか小さな声で挨拶してしまった。それを察してか気を使って礒部コーチが、

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「ほんばにぼーいってくるわぁ」

 僕の板東英二ものまねで、乗り込んでいった。

「頑張ってください! 応援しています!」としっかり伝えられなかった自分に、逆に気を使わせてしまった自分に腹がたった。

 あっと言うまに東京。僕は東海道新幹線に乗り換え、コーチ達は立川に移動するのだが、乗り換えの改札でもう一度しっかり声を出そうと、改札前で待っていた。そんな僕の背中をポーンと、

「立川行ってきますっ」

 菅原秀投手だった。

 アマダー選手、ウィーラー選手が通りすぎる。あっ、選手もいる……。

 不意をつかれたが、しっかり態勢を整え、声をかけ続けた。

「頑張ってください! 応援しています!」

 福田将儀選手、田中和基選手が。岡島豪郎選手、聖澤諒選手が、

「ありがとうございます」「行ってきます」

 ライオンズとの決戦に向かう戦士達の背中はカッコよかった。

 あの日、ファン代表なんておこがましい話だが、楽天イーグルスファン皆の思いを直接伝えることが出来た事はずっと忘れないと思う。

 さぁ18日から始まるクライマックスシリーズ、ファイナルステージ! 福岡でもう一度、今度はたくさんのイーグルスファンと一緒に伝えたい。

「頑張ってください! 応援しています!」