「原石を育てたい」ドラゴンズのレジェンド、吉見一起さんが教えてくれた“将来の目標”

文春野球コラムペナントレース2021

2021/07/04

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吉見さんのすべてが詰まっている“将来の目標”

　吉見さんとはいろいろなお話をさせていただきました。これからの目標について、今はYouTubeチャンネルを立ち上げて子どもたちに野球を教えていますが、ゆくゆくはプロで教えてみたい、できればドラゴンズで――とお話しされていました。

　驚いたのは、吉見さんが「二軍の選手を教えたい」とお話しされていたことです。ドラフト上位で指名された子にはチャンスが与えられるけど、下位で指名された子はなかなかチャンスがありません。吉見さん自身、二軍でそのような状況を目の当たりにしてきたので、そういう選手を二人三脚で育てていきたいとおっしゃっていました。

　吉見さんほどのレジェンドなら、「監督になりたい」「一軍投手コーチになりたい」と考えてもおかしくないのに、二軍で磨けば光るダイヤの原石のような選手を育てたいというんですから、聞いていて鳥肌が立ちました。

　僕はそのお話に、吉見さんのすべてが詰まっている気がしたんです。プロ入りしたときはズバ抜けた球速があったわけではなく、ひたすらコントロールを磨いて超一流の投手になられた方です。その一方で、ケガをして長い間二軍で苦しむ期間もありました。才能はあるのに、陽の目を浴びずに消えてしまった選手もたくさん見てこられたと思います。吉見さんといえば、育成選手だったソフトバンクの千賀滉大投手に、ピッチングを教えた経験もありますよね。

　ドラフト上位で指名される選手以外にも、素晴らしい素質を持った選手はたくさんいます。そんな選手たちを吉見さんが見てくれるのは、野球界にとって希望だと思うんです。吉見さんにはぜひ、ドラゴンズのユニフォームを着ていただいて、第二の千賀投手のような投手を育ててほしいですね。でも、その前に僕ともう一度対決してほしいです！（笑）