きょう10月25日は野沢雅子の誕生日。言わずと知れた声優界の大御所である。これまでに『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎、『いなかっぺ大将』の風大左エ門、『銀河鉄道999』の星野鉄郎、『ドラゴンボール』の孫悟空など、少年役を中心に数多くのアニメに出演し、根強い人気を持つ。最近では、お笑いコンビ・アイデンティティの田島直弥のモノマネにより、あらためて注目されている。
もともとは子役出身。松竹の女優だった叔母の勧めで2歳のときに初めて映画に出演し、小学生のときには将来は女優として生きていきたいと思うようになっていたという(『週刊現代』2015年4月25日号)。高校卒業後、「劇団東芸」に入団。しかし舞台だけでは食べていけないので、ラジオドラマや、当時始まったばかりだったテレビでも洋画の吹き替えなどの仕事で稼いだ。
洋画の吹き替えを始めた当初はまだ録音ではなく、生出演だった。少年役を初めて演じたのもこのころ。ネイティブアメリカンの少年役のオーディションに合格し、声をあてた。少年役に大人の女性を起用するアイデアは、生出演のため子役が演じるには難しく、かといって声変わりした男性では無理があるということから、番組プロデューサーが思いついたものだという。結果的に、この判断が野沢の人生に大きな影響を与えたことになる。その後、国産初の本格的な連続テレビアニメ『鉄腕アトム』(1963年)で脇役の少年を演じてからは、アニメの世界で半世紀以上にわたり活躍し続けてきた。
ある対談では、男性役と女性役とで声の出る場所は違うのかとの質問に対し、「意識はしてない」と答えたうえ、次のように語っている。
「要は気持ち。少年の気持ちになりさえすれば、どんな声のトーンだって少年になれる。逆に大人の女性役なら、たとえ悟空の声を使っていても大人の女性に聞こえると思うんです。大人の女性としての芝居をすれば」(『週刊文春』2012年10月11日号)
そんな野沢は誕生日を迎え、何歳になったのか? ここ最近、本人は年齢を訊かれると、「2000歳」と答えているという。その心は「2000歳なら何にでもバケられるから」。それとあわせて「世界一のベテラン声優としてギネスブックに載る」という目標も公言してきた。その夢は、『ドラゴンボール』のゲーム版のシリーズで、1993年より昨年まで23年218日にわたり孫悟空を演じてきたことが、ギネス世界記録(ひとつのゲームのキャラクターを演じた期間、ゲームの声優として活動した期間がともに世界最長)に認定されたことで一部かなえられたといえる。今年1月には認定証が野沢に贈られている。