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結成25年 サニーデイ・サービスの解散・再結成と組織論

サニーデイ・サービス ベーシスト田中貴さんインタビュー#1

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曽我部は、トータルとしての作品を作る才能に長けてる

――ベースだったらベース的に支えるような役回りが、自然と性格にも侵食してくるような……。

田中 そうですね。だから楽器を選ぶのが先か、性格が先なのかわからないけど、考えてみると後々プロデューサーになる人ってベーシストだった人が多い気がしますよ。ギターとかボーカルには、そういう目立たず支える側に回る人、あんまりいないんじゃないかなあ。

――サニーデイ・サービスは昨年に「DANCE TO YOU」というアルバムをリリースしました。その時に曽我部さんに話を聞いたんですが、予定していた予算も制作期間も大きくオーバーして、最後にはほぼ一人で家で作っていたということでした。田中さんはそういう状況をどう見ていましたか。

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田中 やっぱり曽我部は、トータルとしての作品を作る才能に長けてるんだなと思います。実際、いい曲を書けるだけじゃ一流のミュージシャンにはなれないと思うんです。ジャケットやヴィジュアルや売り方にセンスが出る。そこが優れていないと、この時代売れないと思うんです。「DANCE TO YOU」の時、ボツになった曲が何十曲もあって、僕もそれが知らないうちに消えていくのが最初は嫌だったんですよ。「あの曲、なんでなくなった?」「新しいのができたからこっちにした」「えーっ!?」みたいなこと、曽我部と僕の間でけっこうあったんですけど、出来上がったのを手にしたら「ああ、なるほどな」と思った。僕が何十曲もあるレコーディングした曲から選んでアルバムを作ったとしても、いいアルバムにはなっただろうけど、たぶんそれほど話題にならなかったと思うんです。僕はやっぱり常識人なんですよね(笑)。

 

後編 サニーデイ・サービスという居場所と「地方の時代」 に続く

取材・構成=柴那典
写真=佐藤亘/文藝春秋

青春狂走曲

サニーデイ・サービス 北沢夏音(著)

スタンド・ブックス
2017年8月30日 発売

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INFORMATION

サニーデイ・サービス、師走の東京・大阪ワンマンライブが決定!
『DANCE TO YOU』以降の曲を中心とした、サニーデイ結成25年目の2017年を締めくくるライブ!
<DANCE TO THE POPCORN CITY>
12/18(月)東京 恵比寿リキッドルーム
12/21(木)大阪 梅田クラブクアトロ
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ストリーミング配信のみという前代未聞のリリースで度肝を抜いた、サニーデイ・サービス最新アルバム『Popcorn Ballads』が、ついにCD・LPとして12/25に発売決定!配信時の収録内容から大幅に改訂された、全25曲100分超の壮大なミュージカル・ジャーニー! 19年ぶりに行われた日比谷野音公演の模様を収めたライブDVD『サニーデイ・サービス in 日比谷 夏のいけにえ』も同時リリースです!

たなか・たかし/1971年生まれ。サニーデイ・サービスのベーシスト。2000年のバンド解散後、山下達郎氏が所属するスマイルカンパニー内の新人開発ロック部門のチーフとしてスクービードゥーのディレクション、マネージメントを手がける。退社後、国内外多くのアーティストのサポートミュージシャンとしての活動の他、スネオヘアーの作品を共同プロデューサーとして多数リリース。2008年のバンド再結成後も、声優アイドルユニットや、ボーカロイド作品までプロデュース業は多岐にわたる。2018年放映のアニメ『らーめん大好き小泉さん』では、劇伴にも初挑戦する。音楽以外では、趣味である食べ歩きの知識を活かし、CSフジ『ラーメンWalkerTV2』では乃木坂46をゲストに迎えるメインMCとして、NHK『マイあさラジオ』ではレギュラーコーナーを担当するなどメディアでも活躍中。他に、文筆業も連載を月に三本抱えるなど、多方面にわたり精力的に活動中である。

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