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「モーコンごっこ」と「ミューステごっこ」

―― ごく最近までコンプレックスだったんですね。

伊藤 そうです。「ホントにいらないな、この声」みたいに思っていたんです。私、エゴサーチするんですけど、やっぱり「あのダミ声どうにかしろ」とか書かれてるし……。でも、たとえ何秒とかの出演のシーンでも、私を覚えていただけるのが声なんだって思ったんです。「あっ、あの時のガラガラ声の子ね」って。そう思い直し始めてから、「これ意外と武器なんだな、やっぱり」って自信を持ち始めました。そこから吹っ切れました。いまだに邪魔だなと思う瞬間はありますけど、前ほどナーバスにというか、「なんでこんな……」と卑屈にならなくなりましたね。

 

―― 先程ダンスを始められたのは安室さんの影響だと言われましたけど、子供の頃、音楽は何が好きだったんですか?

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伊藤 安室さん見ながら踊っている私を見て、親がダンススクールに入れてくれたんですけど、モーニング娘。さんにもハマってました。オーディションも受けようとしたんですけど、4歳だったから全然対象年齢じゃなかった。

―― 4歳でモー娘。に応募!(笑)

伊藤 当然、書類も通りませんでしたけどね。お姉ちゃんと「モーコンごっこ」というのをやってたんです。モーニング娘。のコンサートに行ったこともないのに、架空のコンサートを2人でやるっていう「ごっこ」。親が見かねて1回だけコンサートに連れて行ってくれたんですけど(笑)。「ミューステごっこ」もやってたなあ。

―― ミューステ?

伊藤 『Mステ(ミュージックステーション)』のことを私たち「ミューステ」って言ってたんです。「サイゼリヤ」を「ゼリヤ」って言ってたぐらいの環境ですから、千葉の田舎は(笑)。「ミューステごっこ」は、姉か私のどっちかがタモリさんをやるっていうだけで、やってること「モーコンごっこ」と変わんない。だって、ゲストがモー娘。しかいないから。

―― ハハハハ。タモリさんの役をやるのは交代で?

伊藤 入れ替わり制ですね。「じゃあ今日私やる」とか。でも「髪切った?」しか聞かない(笑)。

―― お決まりの。

伊藤  「お母さんごっこ」とかじゃなくて、そっちで遊んでました。

―― ままごととかしなかったんですか。

伊藤 お姉ちゃんが3つ上なので、私と共通の遊びというのがそれぐらいしかないんです。私に合わせた「お母さんごっこ」だと、お姉ちゃんがつまんなくなっちゃうんですよね。でもモーコンだと一緒に盛り上がれる。きれいに担当が違ったんですよね。加護さん、辻さんとかは私で、お姉ちゃんは後藤さんみたいな。ああ、我ながらホンっトにテレビっ子ですね。

 

◆デビュー後の伊藤さんが存在感を見せた「いじめっ子役」の苦い思い出は #2 で!
#2 あだ名は「売れない子役」だった伊藤沙莉の“いじめっ子人生”
http://bunshun.jp/articles/-/4709
#3「女優は辞められない仕事」伊藤沙莉のデトックスは“親友・松岡茉優” 
http://bunshun.jp/articles/-/4710
につづく

写真=佐藤亘/文藝春秋

いとう・さいり/1994年千葉県生まれ。15年「TRANSIT GIRLS」(CX)に抜擢され、以降「その『おこだわり』、私にもくれよ!!」(TX)」、「THE LAST COP/ラストコップ」(NTV)、連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK)等、人気作への出演多数。17年主演映画「獣道」では主題歌も担当した。18年映画公開待機作に、「榎田貿易堂」(飯塚健監督)等がある。

◆伊藤さんが舞台『すべての四月のために』(作・演出 鄭義信)に出演します。11月11日〜29日まで東京芸術劇場プレイハウスにて。12月8日から13日までロームシアター京都サウスホールにて。12月22日〜24日まで北九州芸術劇場大ホールにて。詳しくはhttp://www.parco-play.com/