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「俺はお前を信じている」ロッテ・エチェバリアの“強さ”を作った父の言葉

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/08/25
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チームの将来も考えてくれる頼もしい助っ人

 自分を信じここまでやってきたエチェバリア。大好きな野球のなかでもとりわけ自信があり、好きだった事は守備。野球を始めた頃から、ゴロを捕りアウトにするのが何よりの喜びだったそうだ。その守備について本人にどう思っているか尋ねると「小さいときから守備が大好きなんだ。バッティングよりも守っている時間の方が楽しかったから、納得いくまで守備練習をしたよ。試合では常にイメージをしている。この辺りにこの強さでゴロが来たらどんな風にとってどう投げるか、ランナーがいたら次に起きそうなプレーを考えている。不思議なことに今まで何度も想像した通りのボールが来て良いプレーが出来た。イマジネーションは大事だね」と語ってくれた。

 エチェバリアの守るショートのポジションにボールが飛んでいくとワクワクする。何かすごいことをやってくれそう、たとえヒット性の当たりが二遊間、三遊間に飛んで行っても「もしかしたら」と思ってしまう。決して私だけでなくファンの皆さん、そしてチームメートまでもがそう思っているだろう。幾度となくこれぞメジャーリーガーという、ダイナミックで見ている人を魅了するファインプレーを魅せてくれた。

 普段は野球に関係のないゲーム等の話をチームメートとするが、和田康士朗選手や小川龍成選手などの若手には自分から積極的に気づいたことを伝えに行く。「彼らは他の選手にない才能がある。和田は足がとても速いしバッティングも良いものを持っている。小川は、初めて彼の守備を見た時から驚かされた。二人はいずれレギュラーになってチームを牽引すると思う。だから自分が助けられることは力になりたい。彼らがレギュラーを取るまで僕もプレーしていたら嬉しいね」と自分の事だけではなくチームの将来も考えてくれる頼もしい助っ人だ。

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ニックネームは「パンテーラ」 ©千葉ロッテマリーンズ

 大切な家族、フィアンセをアメリカに残し単身で日本に来たエチェバリア。慣れない環境、食事、言葉の違う中での生活。外国で野球をして生活する事は決して簡単な事ではないだろう。そんな中での毎日だが、決して弱音も文句も言わずグラウンドの中でも外でも常に明るくしている。

「誰かに無理だと言われても一生懸命やり続けることが大切だよ。結果は後からついてくるものだから」

 彼の“強さ”は幼い時から、自分を疑うことなく受け入れ真っ直ぐに歩んできたぶれない信念。今日も自分を信じグラウンドに立ちファンを魅了する。マリーンズのショートストップは頼もしい。

阿久津英之(千葉ロッテマリーンズ通訳兼広報)

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