今年のプロ野球の日本シリーズは、セ・リーグのシーズン3位だったDeNAが、優勝した広島をクライマックスシリーズ(CS)で破って、パ・リーグの覇者ソフトバンクと対戦している。
CSがセ・パ両リーグで導入されたのは2007(平成19)年からで、セ・リーグでは、この年シーズン2位だった中日が、優勝した巨人を破り、2年連続で日本シリーズに進出する。前年と同じく日本ハムとの対戦となった日本シリーズで、中日は第1戦(10月27日、札幌ドーム)は落としたものの、第2戦・第3戦で打線が爆発、11月1日の本拠地ナゴヤドームでの第5戦では、日本ハムを1-0で破って4連勝とし、1954(昭和29)年以来、53年ぶりの日本一をはたした。それからきょうでちょうど10年が経つ。リーグ優勝しなかった球団が日本一になったのは、これが初めてのケースだった。
第5戦では、日本ハムの先発のダルビッシュ有が、2回に中日・平田良介の犠飛で1点を失った以外は、7回まで11奪三振をとった。しかし中日の先発・山井大介はそれを上回り、8回を終わっても一人の走者も出さない好投を見せる。日本シリーズでは初めての完全試合達成も期待されたが、9回、中日監督の落合博満は、このシーズン43セーブを記録した守護神・岩瀬仁紀に交代。岩瀬はプレッシャーのなか三者凡退に仕留め、勝負を決する。記録として公認されなかったとはいえ、投手2人による「完全試合リレー」は、日本プロ野球史上初めてであった。
完全試合達成を目前にしての山井から岩瀬の交代については、賛否両論を呼び、中日球団には抗議の電話があいついだ。しかし後日、山井が投球中に右手のマメがつぶれて出血し、8回終了後に自ら降板を申し出ていたことが報じられる。これを受けて監督の落合は、「おれだって(完全試合を)見たかったよ。でも、本人がだめですと言えば、そうせざるをえない。岩瀬という絶対的なストッパーがいるから、山井も『お願いします』ってことにはなったと思う。騒ぎ立てることじゃない」とあらためて説明した(『中日新聞』2007年11月3日付)。
この年の日本シリーズは、最高殊勲選手(MVP)に、前シーズンにオリックスを自由契約となり、中日の入団テストを受けて育成選手から再出発した中村紀洋が選ばれるなど、話題が多かった。なお、山井大介はこのあと2013年6月にノーヒットノーランを達成、今年8月には、16年目・39歳にしてプロ初本塁打という、工藤公康(現ソフトバンク監督)の23年目・41歳に次ぐ歴代2位の記録もつくっている。