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“いじめ自慢”小山田圭吾を抜擢したオリパラ組織委 東京五輪開催の“意義”は「お・も・て・な・し」に尽きる…?

2021/07/20
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《IOCが気をもむのは、放映権料と共に財源の両輪を成すスポンサー収入への影響だ。東京五輪の約半年後の2022年2月には、北京冬季五輪が控える。》(毎日新聞2020年11月17日)

 IOCは東京が倒れたら北京にまで影響が及ぶことを懸念しているという。北京五輪スポンサーにはアリババグループなど太いスポンサーが並ぶ。

日本人を「中国人」と言い間違えたバッハ会長 ©getty

 東京五輪は自らのノーベル平和賞と北京のため。それなら日本人の視線なんて気にならないし日本人を「中国人」と言うだろう。五輪の政治利用をあらためて可視化した今大会の意義は大きい。

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「お・も・て・な・し」の本当の姿

 関係者は揉み手でバッハを歓待の一方、日本の「お・も・て・な・し」の本当の姿も問われる。私がいま最も気になるニュースがこちらです。

 『「妻と子どものために日本で働きたい」所在不明 ウガンダ選手 書き置き残す』(日刊スポーツ7月17日)

 ウガンダの重量挙げ代表・ジュリアス・セチトレコ選手が行方不明となった。「ウガンダにいる妻と子どものために日本で働きたい」との趣旨の書き置きを残していた。「生活が厳しい国には戻らない」とも。

 ここで考えてしまうのだ。もしこのまま難民として日本に残れたとしても、今の日本はセチトレコ選手が思うような国なのだろうか?

日本の難民認定率は異常に低い

 記事には「詳しい状況は分からないが『働きたい』というだけでは難しいと思う」という専門家のコメントが載っていた。難民と認定されるのは本来帰国すれば紛争などで命を脅かされるようなケースだ、と。

 そもそも日本の難民認定率は他国に比べて異常に低い。1%もない。難民認定されない外国人は出入国在留管理庁から収容を一時的に解かれる「仮放免」という立場で暮らしている。働くことは許されず、健康保険も適用されない。県境を越えた移動は制限される。そして入管にいつ収容されるかわからない。

 現在公開中のドキュメンタリー映画『東京クルド』を観ると、幼い頃から日本で育ち、日本人より日本語が流ちょうなクルド人の青年2人が「仮放免」という立場だった。それだけで進学などさまざまな夢が絶たれていた。彼らの両親は故郷での迫害を逃れ日本にやってきた。でも難民申請が認定されていない。

「仮放免」のあいだは就労は禁止されている。

「仕事してなかったら、どうやって生きていけばいいの?」

 入管職員は答える。「それは、私たちはどうすることもできないよ。あなたたちで、どうにかして」

 在留資格を求めると、

「帰ればいいんだよ。他の国行ってよ」と嘲笑交じりに言われる(このシーンがハッキリと映画にある)。

 5年以上にわたって取材された映画だが、そこに映るのは「救いを求め懸命に生きようとする人びとに対するこの国の差別的な仕打ち」(映画パンフレット)なのである。