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“いじめ自慢”小山田圭吾を抜擢したオリパラ組織委 東京五輪開催の“意義”は「お・も・て・な・し」に尽きる…?

2021/07/20
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 さらに『ルポ入管――絶望の外国人収容施設』(平野雄吾)を読むと、入管施設内での「暴行、隔離、監禁、医療放置」といった処遇など肉体的・精神的に外国人を追い込む入管施設の実情が書かれている。

 今年は出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正案が国会に提出された。法案は3回以上難民認定申請をした人については、強制送還を可能にするなどの内容だった。

 そういった状況で3月には、

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《名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で半年以上収容されていたスリランカ女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が死亡した。入院治療を求めていたが認められなかった。入管の対応を疑問視する世論のうねりは広がり、政府与党は改正案の取り下げに追い込まれた。改正案は事実上、廃案になったが、さまざまな課題は先送りされたままだ。》(毎日新聞WEB 6月20日)

「日本で働きたい」と言うけど…

『ルポ入管』には近年、「仮放免」の許可を出さない傾向が強まっているとある。以前は仮放免者の「不法就労」も黙認していた。生活のためには働く必要があるからだ。

 しかしこうしたグレーゾーンが狭まる転機があった。それは何か?

「2013年の東京五輪の開催決定だった」

 外国人観光客の増加が見込まれる中、入管当局は水際のテロ対策と共に、非正規滞在者の排除を掲げ始める。「我が国社会に不安を与える外国人」と位置付けたのだ。

「中でも目を付けられたのが仮放免者」だったという。滝川クリステルが「お・も・て・な・し」と言って五輪が決定した瞬間から外国人に対する本当のおもてなしが始まったのだ。

滝川クリステル ©文藝春秋

 ウガンダの選手は「日本で働きたい」と言うけど日本の現実をまだ知らない。いやウガンダの選手どころではない、私たち日本人の多くも知らない。これに加え技能実習生の問題もある。

 五輪の開催意義を探しまくった菅首相はよりによって「共生社会」を宣言してしまった。小山田圭吾だけではない、日本の共生社会の実情や立場の弱い人への対応を世界に見てもらおうという大会なのかもしれない。

 滝川クリステルさんありがとう。「お・も・て・な・し」東京五輪はこうして開催されます。

“いじめ自慢”小山田圭吾を抜擢したオリパラ組織委 東京五輪開催の“意義”は「お・も・て・な・し」に尽きる…?

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