1ページ目から読む
2/3ページ目

「住みたい街ランキング」では埼玉県勢が上位に進出

 SUUMOが発表する「住みたい街ランキング」もメディアが良く取り扱うランキングの一つだ。関東版では、最近は横浜が連続して1位を獲得して話題になっている。これに恵比寿、吉祥寺などの常連が並び、最近では大宮や浦和などの埼玉県勢が上位に進出して「ダサいたま」のイメージを払拭している。この調査は有効回答数が7000名程度。ここでいう街は駅名を指す。横浜の駅周辺が住みやすいようには見えないし、おそらく多くの人が「横浜」と感じる山下公園付近は、駅名でいえば「高島町」や「日本大通り」「石川町」だ。多分にイメージ先行の人気投票の感がするのだが、このランキングでの一喜一憂ぶりにもランキング大好き日本人の特性が良く表れている。

 ただ、こうしたランキングどおりに生活することは難しい。魅力度の第1位は北海道だが、住みたい街は横浜だ。全国公立小学校の人気ナンバー1は東京都千代田区の番町小学校だ。東京大学合格者高校別ランキングは、全国の高校のランキング付けとも言われるものだが、第1位の常連は毎年百数十名の合格者を輩出する開成高校だ。大学ランキングの第1位はなんといっても東京大学。この大学には、何学部であっても構わない。とにかく東大に入れば人生は変わる、「バカとブスは東大に行け!!」などと叫ぶのは、あのドラゴン桜の名物教師桜木だ。

©️iStock.com

就職、マンション、レストラン……何でもかんでもランキング

 さて大学を卒業したらどの会社に入るのが良いかになる。平均年収.jpの調査によれば、日本の上場会社で最も平均年収が高い会社は、M&Aキャピタルパートナーズだ。その額なんと2575万円。3位TBS1595万円、5位三菱商事1458万円。放送局や商社ではなくM&Aコンサルタントにならなければ、真の意味での勝ち組にはなれないのだ。

ADVERTISEMENT

 さらにマンションを買うなら値上がりするマンションでなければならない。マンショントレンド.comが発表する首都圏マンション騰落率ランキングによれば、2020年における値上がり率ナンバーワンは、東京港区にあるシティタワー品川だ。なんと値上がり率1.255だ。つまり125%と倍以上の値上がりだ。

 このほか、食べログで星の数の多いレストランで食事をし、口コミで評価の高いホテルや旅館に宿泊する。アマゾンでランキングの高い電気製品を選び、評価の高い映画を見て、書籍を買う。

 我々日本人はいつのまにやら、自分で判断して自信をもって決めることができない国民になっているようだ。誰かのお墨付き、人気がある、など本来の自分の好み、趣向とは関係のない基準で物事を判断しているのではないだろうか。