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喜劇は演技者にとっての最高峰だと思います

――大阪編で内場さん、藤井さんとは本格的な共演をされることになるそうですが、吉本芸人の方と芝居をするというのは、どんな感じですか?

徳永 びっくりしたのは、リハーサルもテストもして演技プランが固まっていても、話しているうちに「そっちのほうがおもろい」という演出が浮かんだら、それまでのプランをためらいなく捨てられるんですよ。新喜劇って、直前に仕上がった台本を舞台で合わせる程度にして本番、ということもあるそうで、瞬発力というか、切り替えがさすがだなあ……って思いました。

――舞台でアドリブに対応するような反射神経も鍛えられているのでしょうね。

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徳永 それも感じます。ノリツッコミ的な演出プランを、その場で提案してくださることもありました。より良くなるためには、変えていかなければならないっていうことが徹底されている気がしました。

 

――『わろてんか』はまさに笑いがテーマですが、演じる側として、笑わせる芝居と、泣かせる芝居、どっちが難しいと思いますか?

徳永 難しいですね……。でもやっぱり笑わせるお芝居が一番難しいと思います。観てくださる方の感動や涙を誘うには、ストーリーにも演技にも、ある程度整理されたルールというか、法則があると思うんです。でも笑いのほうは、人それぞれツボも違いますし、表情や言葉を発した時にどう受け止められるかなかなか計算できないような気がします。まさに生まれ持ったセンスがないとできないような。喜劇は演技者にとっての最高峰だと思います。

モデル時代に学んだ「楽しいことは大事」ということ

――徳永さんは女優として活動されて、どれくらいになりますか?

徳永 もう13年目です。

――中学生のときに『ピチレモン』でデビューをしてモデルをされていましたが、今にもつながっていること、得たものがあるとすれば、何だと思いますか?

徳永 モデル時代は……。あの頃はもうド素人でしたから(笑)。うーん、今思うと、楽しいことは大事ってことを学んだような気がします。お芝居の世界に入ってから、この仕事に楽しさを見出すまでにけっこう時間がかかったんです。楽しいって、仕事をする上で本当に大切なことなんですよね。だから『わろてんか』の現場は、私にとって本当に幸せなお仕事の場所なんです。

 

#2 女優・徳永えりが憧れる、明石家さんまと“菩薩さまみたいな”あの女優
http://bunshun.jp/articles/-/4748 につづく

写真=榎本麻美/文藝春秋
撮影協力: Galaxy-Gingakei

とくなが・えり/1988年大阪生まれ。2004年に女優デビュー。06年には映画『放郷物語 THROWS OUT MY HOMETOWN』で主演を果たした。映画出演作品に『フラガール』『春との旅』『マンガ肉と僕』など。NHK連続テレビ小説には『梅ちゃん先生』『あまちゃん』に続いて『わろてんか』で3作目の出演となる。